世界遺産のアンコール遺跡群があるカンボジア北西部シエムレアプ州はこのほど、犬肉の取引を禁止すると発表した。カンボジアでは手軽なタンパク源として食されてきたが、近年は愛好者が減少。国際的な観光地としてイメージアップを図る意図もありそうだ。
州当局は6日、犬肉の取引が近年「無秩序な状態にある」とし、倫理的にも、狂犬病の拡散など公衆衛生面からも大きな問題だとして取引の禁止を表明。取引に関わると最大で禁錮5年、罰金5000万リエル(約128万5000円)が科されるという。
国際動物愛護団体「フォー・ポーズ」によると、カンボジアで犬肉は家庭料理や酒のつまみとして供されてきた。中でもシエムレアプ州は「犬肉取引の中心地」で毎月約7000匹が取引され、20店以上のレストランが料理を提供していたという。フォー・ポーズは「歴史的な決定だ。(禁止されていない)他の地域のモデルとなることを願う」との声明を出した。
犬肉食の文化は隣国ベトナムのほか中国や朝鮮半島などにもあるが、近年は「残酷だ」などとして退潮傾向にある。カンボジアでも韓国人ら外国人観光客に一定の人気があった一方、フォー・ポーズの調査によると、頻繁に食べていた地元民は1割ほどだった。(プノンペン 共同)