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景気拡大、戦後最長ならず 消費増税の時機見誤りか

 政府が当初「戦後最長」の可能性を指摘していた景気拡大の記録更新は幻となった。景気拡大中は第2次安倍政権の経済政策「アベノミクス」で株価や企業業績は回復したが、所得や個人消費は過去の景気拡大期ほどの伸びを欠き、実感が乏しいものとなった。2度の延期の末、結果として景気後退期だった昨年10月に消費税増税を実施した政府の判断も問われそうだ。

 「戦後最長になったとみられる」。昨年1月、当時の茂木敏充経済再生担当相(現外相)は記者会見でこう述べた。この時、政府は月例経済報告で雇用や所得の改善などを背景に「景気は緩やかに回復」としていた。だが、米中貿易摩擦などを背景に輸出の判断を「弱含んでいる」に下方修正。景気後退の影はこの時見え始めていた。

 今回の景気拡大の起点は第2次安倍政権が誕生した12年12月。日本銀行の大規模な金融緩和が円安をもたらし、輸出増を背景に企業業績が伸びて株価も回復した。ただ、規制改革などによる成長戦略は遅れた。政権発足直後の13年1月の完全失業率4.2%に対し、直近5月は2.9%に改善。しかし、パートなど非正規労働者はこの間、218万人も増加している。

 ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長の試算によれば、今回の景気拡大期の雇用者報酬の年平均の伸び率は2.1%。「バブル景気」の6.7%などと比べ大きく見劣りする。個人消費の伸びも、物価変動の影響を除いた実質で今回の景気拡大期は年平均0.4%と、バブル景気の4.4%を下回る。

 消費税増税の時機を見誤った感も否めない。政府は15年10月だった消費税率10%への引き上げを景気への配慮から、17年4月に先送り。その後、リーマン・ショック前の状況と似ているなどとして再延期した経緯がある。

 結果として景気拡大期の増税を逃した。斎藤氏は消費増税について「早い段階に決めないといけないので、タイミングは難しい」とした上で、「時期は別にしても、個人消費の実力からすると無理があった」と指摘している。(大柳聡庸)

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 ■戦後歴代の景気拡大局面

 1・いざなみ景気 2002年2月~08年2月/73カ月

 2・アベノミクス景気 2012年12月~18年10月/71カ月

 3・いざなぎ景気 1965年11月~70年7月/57カ月

 4・バブル景気 1986年12月~91年2月/51カ月

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