海外情勢

「日本企業は出ていくのか?」 危機感強める中国当局

 【北京=三塚聖平】中国側は、日系企業による「脱中国」の動きを警戒している。トランプ米政権が新型コロナウイルスの流行後に、世界経済の中国依存からの脱却を図ろうとしており、日本もその動きに同調するかどうか危機感を強めているとみられる。

 「本当に日系企業は中国から出ていくのか?」

 上海の日系企業関係者は今春以降、こうした質問を地元当局者から何度も受けた。きっかけは、4月に日本政府が成立させた令和2年度第1次補正予算に、サプライチェーン(供給網)の国内回帰や多元化を促進する支援制度が盛り込まれたことだ。

 中国では人件費高騰などの影響で海外への生産移管の動きが出ていたが、コロナ後にこれが加速することを懸念する。トランプ政権は、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)など中国企業の排除を推進。サプライチェーンでも脱中国化を狙っているからだ。

 ただ、中国は巨大な国内市場を盾に外資系企業の引き留めを図る構えだ。鍾山(しょうさん)商務相は5月に「中国には14億人の市場がある。賢い企業家は巨大な中国市場を捨てることはないだろう」と牽制(けんせい)した。

 米企業でも、中国でシェアを伸ばす電気自動車(EV)のテスラは上海工場の増強へ動く。上海のエコノミストは「一部の日系企業が支援制度に背中を押されて脱中国を選んでも、中国向け製品をつくる企業は簡単にサプライチェーンを変えられない」と指摘する。

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