消費者庁は、特定商取引法と預託法の改正に向けた方針を示す骨子案を同庁の有識者検討会に提案した。インターネット通販やフリマアプリといったデジタルプラットフォーム上での取引をめぐるトラブルに対応するため、販売者の身元確認を徹底させる規定の必要性を強調している。骨子案には販売預託商法の原則禁止も盛り込んだ。検討会は8月に報告書を取りまとめ、同庁が来年の通常国会に改正案を提出する方針。
骨子案は、プラットフォーム企業とオンラインショッピングモールへの出品者の双方に対し、出品者の氏名、住所を虚偽記載できないよう特商法で規定すべきだと提言している。
ほかに、ネット通販でトラブルが多い「定期購入契約」に対しても、顧客の意に反して契約させる行為に当たる場合、刑事罰の導入を検討。解約や解除の不当な妨害の禁止も盛り込んだ。
預託法については、大規模な消費者被害を引き起こしてきた販売預託商法は「原則禁止とすべきだ」と明記した。
実際には商品が存在しなかったり、新規顧客から預かった現金を別の客の支払いに充てる「自転車操業」になっていたりしても、外部から分かりづらい点を挙げて「消費者に財産上の被害を及ぼす反社会性のある取引と言うべきだ」と断定している。