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クロマグロ絶滅の危険も 富栄養化で海中酸素が減少

 生物が生きるために不可欠な海水中の酸素濃度の減少が進んでいる。窒素やリンなどの肥料が海に流れ込んで起こる富栄養化に、地球温暖化の影響が加わって、広範囲で酸素の減少が起こっていることが分かってきた。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は昨年発表した特別報告書で、多くの海域で酸素濃度の顕著な減少が観測されており、過去50年ほどの間に酸素濃度が約2%減ったと指摘した。

 海水温度が高くなって海水に溶け込む酸素の量が少なくなることに加え、表層の海水と中層の海水とが混ざりにくくなることも一因だという。

 国際自然保護連合(IUCN)は昨年12月、海の酸素減少に関する500ページを超える報告書を発表。酸素減少が海の生態系に悪影響を与え、魚の漁獲量も減る可能性があると警告した。

 IUCNは「マグロやカジキなど体が大きく、高速で泳ぐ魚は多くの酸素を必要とするため、酸素濃度減少の影響を受けやすい」と指摘。既に減少が深刻なクロマグロなどの魚は、絶滅の危険が高まるとした。

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