海外情勢

海環境のマスクごみ汚染広がる コロナ後に問われる各国の対策

 地球温暖化が原因の海水温度の上昇、漁業資源の減少、プラスチックごみによる汚染など海の環境は危機的な状況に陥っている。最近、海で見つかる使い捨てマスクのごみが増えるなど新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)が海の環境を悪化させることが懸念される。一方で、コロナ禍を機に、新たな人間と海の関係をつくりだそうとの動きも出ている。海の環境をめぐる最新の状況を探った。

 海底にも多く沈殿

 国連のグテレス事務総長は6月8日の「世界海の日」に際し「海面上昇は全世界の低地国や、沿岸部の都市を脅かしている。(大気中の二酸化炭素濃度上昇で海水の酸性度が高まる)海洋酸性化が進み、海洋生態系と食物連鎖が危険にさらされている。プラスチック汚染もあらゆる場所に広がっている」と警告。「新型コロナウイルスのパンデミックに終止符を打ち、より良い復興を実現しようと努める私たちには、世界の海を含め、自然界との関係を正しいものにする一世一代の機会と責任がある」と訴えた。

 コロナ禍は既に世界の海の環境にさまざまな影響を与え始めている。関係者が懸念するのが、各国で使用量が急増した使い捨てのマスクや手袋、防護具などが海に流れ込み、ごみ問題を悪化させるという事態だ。

 香港に本拠を置く市民団体「オーシャンズアジア」は2月、香港の海岸に打ち上げられる使い捨てマスクの量が急増したとの調査結果を発表。その後、海底にも多くのマスクが沈んでいることを確認した。同様の現象はトルコや欧州でも報告されている。

 プロダイバーで環境活動家の武本匡弘さんは「最近、日本でも海岸や海の中で見つかる使い捨てマスクの量が明らかに増えている」と話す。

 水産物密漁も

 一方で、国連開発計画(UNDP)などによると、経済活動の停滞で水産物の漁獲量や海底油田の採掘量が減少、沿岸の開発事業がストップ、船舶からの二酸化炭素(CO2)排出量も減るなど「海の環境への圧力は一時的に小さくなる傾向にある」という。だが、これらはいずれも一時的なもので、大気中のCO2濃度の減少にはつながらず、乱獲で減った漁業資源の回復効果も不十分。逆に、パトロールなどの目が行き届かなくなった結果、アフリカやアジアの沿岸で水産物の密漁が増加傾向にあることも指摘されている。

 セーシェルで環境保護運動に取り組む、ニルマル・シャー氏は6月、オンラインでのセミナーで「セーシェルの海洋保護区の資金の多くは観光業からの収入で賄われているが、それはほとんどなくなった。ガイドとしての収入が得られなくなった人々は漁業に転向し、密漁も増えている」と窮状を訴えた。

 UNDPの担当者は「世界の海の環境を守れるかどうかは、コロナ後の各国の政策にかかっている」としている。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus