【ワシントン=塩原永久】米マイクロソフト(MS)は2日、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業を中国IT大手、北京字節跳動科技(バイトダンス)から買収する交渉を継続すると発表した。ナデラ最高経営責任者(CEO)がトランプ米大統領と会談し、継続を決めた。トランプ氏はアプリを米国で使用禁止にすると言及したが、交渉を見守る姿勢とみられる。
MSは現在、バイトダンスと予備的協議を進めているが、最終的な交渉期限を9月14日に設定した。
トランプ氏が先月31日、米国でのアプリ使用を「禁止する」と述べ、翌日にも禁止措置をとる意向を示した。MSが同氏の真意を確認するまで買収交渉を中断したと伝わっていた。
MSとバイトダンスは、米財務省が主管する買収審査機関「対米外国投資委員会(CFIUS)」に協議開始を通告した。MSは「米政府による安全保障面の審査に完全に服する」とし、米政府の監督のもとで交渉を進めると明言した。
事業買収の対象地域は、米国に加えて、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが含まれた。
トランプ米政権はティックトックに関して、米国事業で収集した利用者の個人データが中国側に流出する恐れがあると問題視していた。MSは「米大統領の懸念に対処する重要性」を十分認識しているとし、ティックトック米事業を買収した場合、米国利用者のデータを海外移転させない措置を取ると述べた。
一方、ロイター通信は2日、トランプ氏がバイトダンス側に45日の猶予期間を認めたと報じた。9月14日が猶予期限となる。また、ムニューシン米財務長官は2日の米テレビで、非常時に大統領が経済活動への広範な権限を発動できる「国際緊急経済権限法(IEEPA)」を活用し、「大統領は(米事業の)売却を命じることも、アプリ使用を禁止することも可能だ」と述べていた。