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コロナにうがい薬呼びかけで波紋 大阪府知事が釈明「拙速」批判も

 大阪府の吉村洋文知事が新型コロナウイルス対策として、ポビドンヨードを配合したうがい薬の使用を呼びかけた発言が波紋を広げている。商品が店頭から消えたほか、高額で転売される事態となり、吉村氏は5日の記者会見で「予防や治療の効果はない」と釈明に追われた。感染症の専門家は「ポビドンヨードが有用かどうか証明はされていない。拙速だ」と慎重な見方を示している。

 大阪府市と、コロナ患者を治療している府立病院機構大阪はびきの医療センター(羽曳野市)は4日、軽症患者ら41人を対象とした研究結果を発表。1日4回ポビドンヨード入りのうがい薬でうがいしたグループは、何もしなかった場合と比べて唾液内のウイルスが減少したという内容だ。

 吉村氏が「嘘みたいなホントの話をする」と切り出し「うがい薬を使うことで陽性者が減っていく」と話すと、品切れする薬局などが相次いだ。混乱の一因として、吉村氏の発言を機にコロナ感染への予防効果があるとの認識が一部で広まったとみられる。

 吉村氏は5日、「誤解がある。予防薬でも治療薬でもない」と強調。一方で「(唾液中の)ウイルスが殺菌され、減少することが分かった。感染拡大防止に寄与する可能性がある」として、発熱者やその家族らに向けて適切な使用を改めて呼びかけた。

 インターネット上では「(本来陽性だが検査で誤って陰性が出る)偽陰性を増やして感染を拡大させるリスクはないのか」との指摘もある。吉村氏は「陰性を出すために検査を受けるのは、本筋と違う。実態としてほとんどないと思う」と述べた。

 重症化の抑制効果を検証するため、府と大阪はびきの医療センターは今後、患者2千人を対象とした臨床研究を行う方針だ。今回はうがい薬の効果が研究者らの間で認められる前に行政トップの判断で使用を呼びかけたことで、混乱に拍車がかかった面もある。

 日本医師会の中川俊男会長は5日、うがい薬の効果について「現時点ではエビデンス(根拠)が不足していると考えている」と語った。

 京都大の川村孝名誉教授(疫学)は取材に、「うがいは(ウイルスの)入り口の掃除にすぎず、有効かどうかは分からない。今後の研究でメリットよりデメリットが大きいとなれば、逆効果の可能性もある。十分な効能が約束されていないものを人に伝えるのは危うい」と話している。

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