海外情勢

南アフリカの外出緩和、一転逆戻り 貧困対策と感染抑止のバランス苦慮

 人口約6000万人の南アフリカで新型コロナウイルスの流行が広がり、これまでに約53万人の感染が確認された。政府は当初住民の外出を厳しく制限したが、経済が悪化し緩和。その後、感染が爆発し再び制限を強めざるを得なくなった。他のアフリカ諸国も、貧困対策と感染抑止のバランスに苦慮している。

 「近所でせき込む人を見かける。コロナで死んだ人もいて怖い」。最大都市ヨハネスブルクの旧黒人居住区に住むガソリンスタンド従業員、ストニー・マボコさんが語った。「(感染と判明して差別されるのを恐れ)症状が出ても検査しない人がいる」という。

 政府集計だけで既に約7800人の死亡が確認された。だが保健当局は「5月から7月中旬に病気などで死亡した人は例年より約1万7000人増えた」と発表。増加分に新型コロナの死者も含まれるとみられ、政府集計から漏れた犠牲者が多数に上る恐れがあるという。

 アフリカ疾病対策センター(本部エチオピア)の幹部は「ウイルスの広がりは野火のようだ」と警戒する。

 不要不急の外出禁止、国際線の運航停止-。南ア政府は感染者が少なかった3月時点で制限を導入。街中に展開した兵士や警察官が違反者にゴム弾を撃つなど、厳しく取り締まった。

 南アは新型コロナ禍前から20%台後半の高失業率が続き経済が疲弊。新型コロナ禍で人々の困窮に拍車が掛かり、政府は徐々に制限を緩めた。

 その後起きたのが、感染爆発だ。ラマポーザ大統領は「国民が油断しウイルスが広がった」と発言し、7月中旬以降、再び夜間外出禁止や学校閉鎖を課した。

 マボコさんは「3人の子供がいて、空腹のまま家にこもることはできない。この国で人々の外出を制限するのは無理だ」と訴える。

 東部ケニアは既に都市間移動を解禁し、国際線の再開で景気回復を図る。一方、夜間外出禁止を延長し、飲食店の閉店時間を早めるなど慎重さも見せている。

 13億人が暮らすアフリカ54カ国で感染が確認されたのは約100万人で、米国などに比べて少ない。だが、保健医療が脆弱(ぜいじゃく)で流行を防ぐのは困難だ。世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するライアン氏は「南アの感染拡大は他のアフリカ諸国で起きることの前兆かもしれない」と警告している。(共同)

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