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「もしコロナだったら…」で司法試験を断念、救済措置は?

 新型コロナウイルスの影響で延期されていた司法試験が12日から始まった。感染防止策に追われる各地の試験会場で計約3700人が難関突破を目指す中、大阪市の30代男性は受験を断念した。発熱などがあったため受けたPCR検査の結果は陰性だったが、保健所から「様子を見てほしい」と言われたためだ。受験回数が限られる司法試験。多少の体調不良なら無理を押してでも受けるつもりだったが、万が一の事態を考慮した。未曽有の感染症に振り回された格好で、「救済措置を設けてほしい」と訴えている。(小松大騎)

 男性がだるさなどの体調不良を感じたのは7月31日夜。8月2日には微熱が出て、嗅覚に違和感を抱くようになった。「コロナかもしれない」と思い、大阪市の保健所に連絡をした。

 だが「夜の街で働く人たちを優先するため、すぐにはPCR検査を受けられない」と言われた。民間のクリニックを回ったがどこも受けさせてくれなかったため、保健所に事情を説明し、ようやく受けられたのは7日になってからだった。

 10日に出た結果は陰性。ただ、依然として37度前後の熱があり、食事をしても「味のないガムのような感じ」。保健所からは「(感染しているのに陰性反応が出る)偽陰性の可能性は否定できず、しばらくは様子を見て」と告げられた。

 例年5月にある司法試験は新型コロナの感染拡大を受け、現行制度となった平成18年以降、初の延期に。今月12日から16日まで、全国7都市で実施される。法科大学院の修了後などに受験資格が得られ、5年以内に最大5回受けられる。男性は今回が4回目の試験で、逃せばチャンスは来年1回だけになる。

 多少の熱なら解熱剤を飲むなどして受験するつもりだったが、「もし自分がコロナで、クラスター(集団感染)を起こしてしまったら…」。自身ができる最善の選択肢として、今年の受験をあきらめることを決断した。

 コロナの影響が広がる現状では仕方がないとも思うが、貴重な機会が奪われるダメージは大きい。男性は「別室や追試での受験を実施してほしい」などと法務省に要望したが、「問題作成や採点者のスケジュールを確保するのが難しい」などと断られたという。

 男性は「今年の試験は受験回数に数えないでほしい」とも訴えるが、法務省は「過去にも風邪やインフルエンザなどで受験を見送ってもらった人があり、公平性の観点からコロナだけ特別扱いするのは現状では難しい」との立場だ。

 男性は「風邪なら薬を飲むなどして、我慢してでも受験できる。公平性を保とうとする気持ちは分かるが、さまざまな自粛が求められている中で、コロナと風邪を同列に扱うのはおかしいのでは」とやり切れない思いを吐露した。

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