海外情勢

北が甚大な水害も支援を拒絶、開城封鎖は解除

 【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮中央通信は14日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が出席した党政治局会議が13日に開かれ、洪水被害の復旧策を討議したと報じた。

 梅雨前線の影響による豪雨で甚大な被害があったことを公表したが、正恩氏は、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大する中、「いかなる外部の支援も許してはならない」と主張し、国境封鎖と防疫を徹底するよう指示した。

 韓国から戻った元脱北者の感染疑いが判明したとして、7月24日から続けてきた南西部、開城(ケソン)市の封鎖の解除も決定した。専門機関の科学的な検証に基づくとしたものの、元脱北者が実際に感染していたかについては触れられなかった。

 国際社会による制裁が続く中、正恩氏は「自力更生」を強調してきたが、新型コロナも水害も自力で切り抜けられる姿勢を誇示する狙いとみられる。国連や欧州連合(EU)、韓国が北朝鮮の水害に対する支援の意向を示していた。

 北朝鮮は、正恩氏がぬかるみの中、車を自ら運転して被災地に駆け付ける様子をメディアで伝え、正恩氏が住民生活を最優先する姿をアピールしてきた。写真から正恩氏が運転した車はトヨタの高級車ブランド「レクサス」とみられている。

 同通信によると、豪雨で約4万ヘクタールの農地のほか、住宅1万6千世帯以上に倒壊や浸水の被害があった。道路や鉄道が寸断され、発電所ダムも崩壊したという。

 国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)がメディアに明らかにしたところでは、北朝鮮の洪水で少なくとも22人が死亡し、4人が行方不明となっている。

 正恩氏は、金才竜(ジェリョン)首相を解任し、金徳訓(ドックン)党副委員長を後任に任命した。

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