海外情勢

トルコでランの花びらに描く細密画がネットで評判 自粛生活きっかけ

 トルコ最大都市イスタンブールで、大学院生の女性がランの花びらに伝統の細密画を描き、話題を呼んでいる。新鮮なアイデアをもたらしたのは新型コロナウイルスの影響による自粛生活。インターネットで描き方を紹介して注目された。趣味で始めたが、仕事にしたいと夢は膨らむ。

 「すてきな偶然でした。コロナのおかげで細密画を描く新しい場所を発見できました」。ネビン・ヤプジュさんは自粛生活中の5月、自宅で本を開いたとき乾いたランの花びらを見つけた。

 数年前に何げなく挟んだものだったが、表面がつるつるに。「ここに描けるかも」と思い立ち、筆を執った。さっと描いた人物画だったが、ネットに投稿すると「美しい」「心を動かされた」とすぐ評判になった。ランの花をキャンバス代わりにしたことが独創的と受け止められたようだった。

 細い筆で描かれた細密画は、写本の挿絵として南西アジアや中東に伝わる。オスマン帝国の歴史書では金粉を使った挿絵が描かれた。かつては特別な画材が使われたが、今は一般的な絵の具と筆を使う。最近は大人だけでなく、若者にも人気が広がっているという。

 子供のころから絵を描くことが好きで、約4年前から細密画を習い始めた。現在はマルマラ大学の大学院生としてスーフィズム(イスラム神秘主義)を研究する傍ら、専門のアカデミーで細密画の習得に励んでいる。

 「芸術には自分なりの解釈を加えるべきだ」というのが持論だ。遠近法や陰影法を使わない伝統にとらわれず、現代風に描くことを好む。将来は「児童書に細密画を描いたり、ほかのアートと融合させたり、いろいろな素材に描いてみたい」と意気込んでいる。(イスタンブール 共同)

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