海外情勢

「米国を製造業の超大国に」 トランプ氏、指名受諾演説で通商交渉の成果誇示

 【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は27日の指名受諾演説で、「次の4年で米国を製造業の超大国にする」と宣言した。減税や規制緩和を続けて自国企業を振興し、中国などに海外流出した雇用を取り戻すと強調。米国が不利に扱われた通商協定を承認したとしてバイデン前副大統領を「雇用の破壊者だ」と激しく攻撃した。

 トランプ氏は1時間を超す演説で幾度となく経済政策に言及し、新型コロナウイルス流行の打撃を受けた景気の回復を2期目の政権に託してほしいと訴えた。

 特に強調したのはバイデン氏の政治家としての経歴が、労働者への「裏切り」に満ちているとの指摘だ。トランプ氏が「雇用を殺す」と主張する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をめぐり、バイデン氏がオバマ前政権時代に交渉を進めるなど、「雇用を海外流出させることに職業人生を費やした」と批判を展開。

 また「バイデン氏は4兆ドル(約430兆円)の増税を公約とした。急回復している経済を崩壊させる」と述べ、同氏の経済政策を疑問視。さらに、北米自由貿易協定(NAFTA)や韓国との貿易協定などの改定を成し遂げた1期目の通商政策の成果を誇示した。

 バイデン氏は先週の民主党大会までに、製造業の復活と雇用創出のため大規模投資する方針を表明した。中西部ペンシルベニア州など、労働者が多い「ラストベルト(さびついた工業地帯)」の激戦州を重視する選挙戦を展開する構えだ。

 一方、トランプ氏も2016年の前回大統領選でラストベルトで支持を勝ち取り当選につなげた。両候補が労働者票を奪い合う中、トランプ氏は、自国産業保護の「米国第一」主義に期待する支持者の熱狂を再現する狙いを鮮明にした。

 トランプ氏は「再選されれば、米国を離れて海外で雇用を生み出した企業に関税を課す」と述べ、保護主義的な通商政策をなおも加速させる意向も示した。

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