安倍晋三首相(自民党総裁)の辞任表明から一夜明けた29日、「ポスト安倍」をめぐる各派閥の動きが本格化した。総裁選は国会議員らの投票のみで選出する方式で、来月15日の投開票を軸に党内の調整が進む。ただ、若手議員の一部はこの流れに反発し、党員らの直接投票も含めるよう求める署名活動を始めた。総裁選の方法は1日の総務会で決まるが、勝敗の行方にも影響しそうだ。
二階派(志帥会)を率いる二階俊博幹事長は29日、大島理森衆院議長と都内で会食した。大島氏は党派を離れた立場だが、党内に一定の影響力を保持しており、総裁選の行方をめぐり意見交換したもようだ。
岸田文雄政調会長は都内で、政界を引退した谷垣グループ(有隣会)特別顧問の谷垣禎一前幹事長と面会し、支援を要請した。岸田氏は石原派(近未来政治研究会)会長の石原伸晃元幹事長とも会談した。
党内に出馬待望論が根強い菅義偉(すが・よしひで)官房長官は、自身のブログで首相の辞任表明に触れ、「官房長官としてずっとそばで支えてきた私としても大変残念ですが、国民の命と暮らしを守るために全力で職責を全うしていく」と強調した。
前回総裁選で派内の対応が割れた竹下派(平成研究会)の竹下亘会長は、松江市内で記者団に「派内が一本であることが一番の優先事項だ」と述べた。会長代行の茂木敏充外相も候補になり得るとも語った。
かねて出馬に意欲を示してきた河野太郎防衛相はインターネットを通じた記者会見で、「仲間と相談していきたい」と述べ、立候補を目指す可能性を示唆した。ただ、河野氏が属する麻生派(志公会)会長の麻生太郎副総理兼財務相は、派としての対応を慎重に見極める方針だ。
一方、総裁選の方法をめぐり、二階氏は国会議員らの投票のみによる両院議員総会での選出もありうるとの見方を示したが、党内には異論が広がりつつある。
石破茂元幹事長は高い知名度を背景に党員票に期待をかける。石破派(水月会)内からは「両院議員総会での選出方式が決まれば出馬を見送るべきだ」との声が上がる。
ただ、党幹部の一人は首相の任期途中での辞意表明や新型コロナウイルス対策などを念頭に「これ以上の緊急の場合はない」と述べ、総務会では両院議員総会での選出方式が決定されるとの見通しを示した。