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国勢調査の未回収率が増加 プライバシー意識が向上、コロナの影響必至

 国内に住む全ての人を対象にした国勢調査で、対象者から調査票への回答が得られない「未回収率」が急上昇している。単身や共働きで不在がちな世帯の増加やプライバシー意識の高まりが要因。国政選挙の区割りなど国の基礎的データとなるだけに、政府は危機感を募らせる。今年は国勢調査スタートから100年の節目。最新調査を10月に実施予定だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響も懸念されている。

 国勢調査は5年に1度、人口や世帯構成などを把握するため総務省が実施する。調査員が各戸に調査票を配布し、郵送やインターネットで回答してもらうほか、調査員も直接回収に当たる。

 全員から回答を得る「全数調査」が原則だが、不在などのため本人から回答が得られないケースがある。この割合が未回収率だ。この場合、調査員がマンションの管理人や近隣住民らに対象者の氏名や世帯構成などを聞き取り、データの欠損を埋めることになる。

 2000年調査の未回収率は1.7%だったが、05年は4.4%、10年は8.8%、15年には13.1%となり「倍々ゲームで増えている状況」(総務省幹部)。15年調査の数字を都道府県別に見ると、東京の30.7%が最も高く、沖縄が18.0%、大阪17.7%、神奈川14.4%と続いた。

 同省は「不在がちな世帯が増えたことや、プライバシー意識の高まりによる調査拒否も背景にある」(同)と分析する。オートロックのマンションの普及や、外国人住民の増加といった要因も加わっているという。

 「データが劣化する」。上川陽子元法相は2月、国勢調査に関する議連の会合で未回収率の上昇に懸念を示した。さらに悪化するようなら各種統計の信頼性が失われる、とも指摘した。

 こうした危機感に押され、総務省も対策に乗り出した。10月実施の調査に向けて民間企業に協力を求め、調査票への記入を求める社内メールを一斉送信するといった取り組みを呼び掛ける。またネット回答の利便性向上のため、スマートフォンでも入力しやすい表示に改善し、外国人向けに多言語化も図る。

 新型コロナの影響では、市区町村が公募などで選ぶ調査員70万人の人員確保が難航するとの懸念が出ている。そこで今回は調査票の回収期限を当初予定より1カ月遅い11月20日とし、一定の余裕を持って作業に当たれるよう配慮する。

 ただ、一連の対策が未回収率を抑えることにつながるかは見通せない。みずほ総合研究所の岡田豊主任研究員は「コロナ禍で回収率がかなり下がる恐れもある。戸別訪問を主体とする現状からネット経由のスタイルに切り替えるなど、新たな取り組みを強化すべきだ。国勢調査は転機を迎えている」と指摘した。

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