【台北=矢板明夫】台湾を訪問しているチェコのビストルチル上院議長らは2日、政府系研究機関である新竹市の工業技術研究院を訪れたほか、蘇貞昌(そ・ていしょう)行政院長(首相に相当)とも会談し、双方の経済や科学技術分野での交流拡大について意見を交換した。
台湾メディアは、ビストルチル氏が1日の立法院(国会に相当)で行った講演に大きく反応している。同氏は「私は台湾人だ」と訴えたが、これは1963年にケネディ元米大統領が冷戦下の西ベルリンを訪れて「私はベルリン市民だ」と支持を表明したことを引き合いにしたもので、中国から圧力を受ける台湾への連帯を表明した発言だったからだ。
2日付の台湾各紙は「台湾とチェコが一緒に強権に対抗する宣言」として大きく報じた。各テレビ局は相次いでチェコ人がソ連の圧力に抵抗した歴史を紹介する番組を流し、台湾でにわかに「チェコブーム」が巻き起こっている。
台湾の東海大学教授、沈有忠氏は大手紙、アップルデイリーの取材に対し「欧州連合(EU)のメンバーであるチェコの上院議長の訪台には大きな意味があり、ほかの国も次々と台湾支持を表明するドミノ現象が起きる可能性もある」と分析した。