国内

来年度税制改正 重要課題は「デジタル変革の遅れ」

 自民党の甘利明税制調査会長は、研究開発を後押しする企業への減税など安倍晋三政権で進めてきた企業活動の促進に重点を置く税制改正を、今月発足する新政権でも継続する構えだ。甘利氏は新型コロナウイルスの感染拡大で露見した国内のデジタル変革の遅れを重要課題として認識。個別企業を税優遇する、これまでの施策の発想から転換し、「産業活動全体の課題克服に焦点を当てた税制を議論する」方針を明かした。

 安倍政権下では、成長戦略を後押しするために施設や機械の更新を促す企業の税負担を軽くする設備投資促進税制を柱に据え、法人実効税率を7%超引き下げるなど企業活動の活性化を重視した税制改正を実施してきた。経済再生担当相や税調メンバーとして安倍政権を支えてきた甘利氏は、こうした基本路線を変更しないと明言する。

 ただ、新型コロナによりあぶり出された産業全体の課題とこれまでの施策の反省を踏まえ、議論の方向性は軌道修正するつもりだ。コロナ禍ではテレワークや資料の電子化などのデジタル化が個別企業で導入が進んだが、データやシステムを活用する際に企業や行政間で互換性や統一性が欠如しているため、作業の遅延など使い勝手を損ねる問題も顕在化した。

 「こうした課題の解決策を見いだし、組み込むための加速剤は何かを税制改正で議論する必要がある」と甘利氏は訴える。税優遇などを通じ個別企業ごとに拡大したデジタル化を産業界や社会全体に広げるための税制改正案を模索していく考えだ。(西村利也)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus