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中国「HV優遇」 日系は中長期的視野を

 中国の新エネルギー車(電気自動車=EVなど、NEV)市場は、2019年後半以降、大幅な補助金の減額により低迷が続いている。20年7月は、この減額の影響が剥落したことでようやく増勢に転じたが、中国のEVメーカーには、ベンチャー企業など財務体力の乏しい事業者も多く、新型コロナウイルスの影響も相まって経営難に陥るケースもみられた。

 一方この間、NEVに含まれない電動車であるハイブリッド車(HV)を取り巻く環境は大きく改善した。中国政府は、自動車に関する環境規制を見直す中で、HVを中心とする低燃費車の優遇を改正案に盛り込んでいる。NEVを除く車両の燃費改善を図るべくHVの評価を改めたとみられ、この領域に強みを持つ日系メーカーには有利に働くと考えられる。HVは当面、中国の電動化戦略の一役を担うこととなるだろう。

 ただし、将来を見通せば日系メーカーもあぐらをかいてはいられない。低燃費車に対する優遇は徐々に弱められる計画であり、中国が自動車産業の育成を図る中で再びEV偏重路線に戻る可能性は十分に考えられる。また、中国におけるNEVのシェアは、海外メーカーの本格参入もありこの1年で大きく変化した。環境規制の強化を背景に欧州などでもEV市場の拡大が見込まれる中、他地域で開発したEVなどを中国で展開する事業者も増えており、競争激化は一層進む。中長期的な競争力維持に向けて、引き続きEVへの対応は欠かせない。(編集協力=日本政策投資銀行)

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