--「敵基地攻撃能力」について憲法上認められるが政策判断として保有しないとしてきた。保有する政策に変更する考えはあるか。安倍晋三首相は憲法改正で自衛隊の根拠規定明記にこだわってきたが、これを引き継ぐか。自民党の改憲4項目のうち特にどの改正を目指していくか
石破氏「これは憲法上は可能です。自衛権の行使ですから、それは被害が出てからでは遅すぎると。恐れの段階では早すぎると。着手の段階になれば個別的自衛権の行使として相手の策源地を攻撃することは許されるということは、私は(防衛庁)長官時代に累次答弁しているところでありますが、そのときに答弁したのは、北朝鮮の指導者がこれから日本を攻撃すると宣言をしてですね、液体燃料を2時間、3時間かけて注入してですね、それは不可逆的な段階に入りますので、まさしく着手だと。
しかしそういう宣言をしなかったら、今、固体燃料ですから瞬時に準備はできるわけですね。そして移動発射台でどこへ移動するか分からないわけですね。そしてTEL(移動式発射台)によって移動するわけですよね。さらに高度ランチを使って撃つと何発でも撃てるわけですよね。
そうすると私が長官時代に言った状況が生まれるかと言うと、極めて法的には難しい。そこにおいて着手の時期をどう判断し、専守防衛に反しないかどうかは、現実に即して考えないと法律論から瓦解(がかい)しかねない。
そこはきちんと考えねばならないし、敵基地攻撃能力というのを仮にやる場合に(最新鋭ステルス戦闘機の)F35でやるのか。そうすると空中警戒管制機、AWACS、どれだけ飛ばし、どこにあるのか、どうやって判断するのか、そしてそういう判断をした場合にどこにあるかはどのように情報を仕入れるか、日本単独の判断でそんなことができるか、日米安保との関係はどうなのかということを詰めないままに敵基地攻撃論が独り歩きすることは極めて危険だと私は思っている。
(長射程巡航ミサイルの)トマホークでやればいいという考え方が問題はほとんど一緒である。トマホークは遅いので撃ち落とされるということも考えておかねばならないだろう。イージス・アショア的な機能というものは残していかなければならない。
それは洋上でそのような発射台だけ置き、レーダーを地上に置く等と、それは非常に考えれば、イージス・アショアの機能は海上自衛隊の負担軽減、南西海域の防衛、その意味からも絶対にやめてはならないものだと考えております」
菅氏「これについては今、憲法のもとに専守防衛の範囲の中で、今、与党でこの問題について議論しています。そしてこれは、与党というか自民党で議論して、で、最終的には与党の議論を見ながら、見据えながら、そこは対応していきたい。こういうふうに思います」
岸田氏「まず敵基地攻撃については私も外相時代、度々敵基地攻撃能力について質問を受け、憲法では許されるけれどもわが国として能力を持たず、そして能力を持つ予定もない、こうした基本的な答弁をずっと繰り返してきました。
そしてその後、具体的にはイージス・アショアの計画断念を受けて、わが国のミサイル防衛体制そのものが全体として国民の命や暮らしを守るうえで十分なのかどうか、これを議論しなければならない。その議論の中で出てきた課題の一つであると認識しています。
ですから敵基地攻撃能力の議論は、これは国民の命や暮らしを守る最大限の備えとして必要なのかどうか、こういった議論を行うこと自体は意味があるものであると思います。ただ、現実問題、国際法との関係においても、先制攻撃は国際法違反ですが、着手の時期というのは国際法の世界でもいくつも論説があって、そして国によって自国に都合のいい判断を展開するなど、さまざまな複雑な議論があります。
そして技術においても本当にそれが実行可能なのか、敵基地といっても移動型、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)をはじめ、さまざまな技術の進歩があるわけですから、それをどう捕捉して、そしてそれを実行するのか。これはなかなか大変な部分もあるのではないか。このようにも思います。など、法律的にも技術的にしっかり詰めないとならない点はたくさんあるのではないか。それも含めて議論することは当然あってもいいと私は思っています」
=おわり