株価・外為

東証売買停止、東京市場の信用に傷 注目高まる日本株に失速懸念

 東京証券取引所の全銘柄の売買が1日朝から停止している問題は、世界の投資マネーを呼び込もうとしてきた東京株式市場の信用に傷をつけることになりそうだ。この日は企業の景況感を示す企業短期経済観測調査(短観)が公表されたほか、3銘柄が新規株式公開(IPO)を予定。幅広い投資家に影響が及んだ可能性がある。

 東証には、全部で3721銘柄が上場(9月末現在)。9月30日には、米大統領選を戦うトランプ大統領とバイデン前副大統領による初のテレビ討論会を受けて、東証1部の売買代金は3兆円近くに膨らんだ。

 海外投資家を呼び込もうと、政府や東証はこの数年、市場構造の改革に取り組むと同時に企業統治改革も進めてきた。こうした中、8月下旬には、「投資の神様」の異名を持つ米著名投資家のウォーレン・バフェット氏率いる投資会社が日本の総合商社株を大量保有していることを明らかにし、日本株への注目度が再び高まっていた。

 東証は過去にも全銘柄の取引停止を経験してきた。平成17年11月には、プログラムのミスで、全銘柄の取引が約3時間にわたり停止、幹部が報酬減額などで責任を取った。18年1月には、ライブドア・ショックで処理能力を超える売り注文が殺到し、取引が一時全面停止に追い込まれた。

 今回の大規模な売買停止の詳しい原因は分かっていないが、午前9時の取引開始前から相場情報の配信が滞っていたという。

 三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは「仮に今後同じようなことが頻発する恐れがあるようなら、投資家からの信頼に影響は出てくるだろう」と指摘している。(米沢文)

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