東京証券取引所が1日にシステム障害により全銘柄を終日停止させた影響は、多方面に広がった。東証と同じシステムを利用する札幌、名古屋、福岡の各証券取引所も同日の株式取引を終日停止。証券各社は異例の事態への対応に追われた。1日は広島銀行が持ち株会社化した「ひろぎんホールディングス(HD)」など3社の新規上場日だったが、売買が成立しない状況に関係者からは落胆の声が広がった。
札幌証券取引所では取引が始まる午前9時を過ぎてもモニターの表示が更新されない状況が続き、午前10時ごろにようやく売買停止を周知する張り紙が掲示された。札証が取引を終日停止するのは、平成30年9月の北海道胆振東部地震以来、2年ぶり。名古屋証券取引所、福岡証券取引所も取引の終日停止を周知し、関係各所への連絡などを慌ただしくこなした。
東証のシステム障害により、機関投資家の大口注文に利用される通常の取引時間外に行う立会外取引も売買停止となった。売買が午前11時45分までに再開されなかったため、投資信託協会はこの日、緊急対策委員会を開き、東証などの売買銘柄を主な投資対象とする投資信託について、1日分の設定・解約の申し込み受け付けの停止を決めた。
1日にはひろぎんHDのほか、東京に拠点を置くネット証券会社のインヴァスト、損害保険会社のアイペットHDの3社が東証に上場を予定していた。だが、東証の取引停止で上場後の初値がつかず、社員からは戸惑いの声が聞かれた。
ひろぎんHDは午前8時半から池田晃治会長や部谷俊雄社長などが出席し、設立記念式典を広島市内で行った。だが、その直後に東証のシステム障害の影響で株式の取引ができないことが分かり、上場の記念日に冷や水を浴びせられた。
異例のトラブルに証券会社には顧客からの問い合わせが殺到し、自社のサイトに情報を掲載するといった対応を続けた。楽天証券は証券取引所を介さず株式を売買できる私設取引システム(PTS)を利用した取引は可能なことを案内するなど顧客対応を急いだ。