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都内の企業倒産が前年より減少 コロナ禍も支援奏功、不安は下期に

 今年度上半期(4~9月)の東京都内の企業倒産件数が前年同期を下回ったことが、東京商工リサーチの調査で明らかになった。東京商工リサーチによると、新型コロナウイルスの感染拡大によって経済活動は停滞したものの、自治体や金融機関による支援制度が奏功したとみられる。ただ、経営体力を奪われた企業は多く、感染防止と経済社会活動が両立できなかった場合、下半期では倒産件数が増加に転じる恐れもあるという。

 今年度上半期の都内の企業倒産は、アパレル大手レナウンや、弁護士法人の東京ミネルヴァ法律事務所など、651件だった。前年同期(800件)に比べて18・62%減少した。

 新型コロナの感染拡大に伴い、政府は4月に緊急事態宣言を発令した。外出自粛要請など、経済活動の抑制によって売り上げの減少に見舞われた企業は多かったが、自治体による緊急融資制度の活用や、金融機関の返済猶予などで乗り切ったとみられる。

 一方、東京商工リサーチが9月上旬に実施したアンケートでは、回答した企業の8割超が新型コロナの影響が「継続している」と答えた。アパレル関係や飲食店、ホテル・旅館など、外出が必要な業態で特に影響が顕在化している。下半期に業績回復が進まなければ、こうした業態を中心に倒産の増加が懸念されるという。

 東京商工リサーチの担当者は「個人消費を含め、景況感は全体的に上向いてはいない。一時的な支援策で危機を封じ込めているといえ、予断を許さない状態は続くだろう」と分析している。

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