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大阪市再編か存続か…維新の看板政策に最後の審判へ 

 大阪市の存続か、特別区への再編かを問う大阪市民対象の住民投票が12日、告示された。大阪府市の「二重行政」解消を目指す「大阪都構想」を大阪維新の会が提唱して約10年。前回住民投票(平成27年5月)で否決されながらも再挑戦に進んだのは、都構想を公約に掲げた選挙で「民意」を得たためだが、維新支持が都構想への賛成に直結するわけではない。制度改革の必要性にどこまで理解が得られるか。投票までの20日間で、看板政策への最後の審判が下る。

 かつての政敵と

 「制度を変えることで、無駄な税金を使う二重行政と未来永劫(えいごう)、おさらばできる。デマにまどわされず、冷静に、シンプルに考えていただきたい」

 12日午前10時半すぎ、維新代表の松井一郎市長は、南海難波駅前(同市中央区)に止めた街宣車の上で熱弁をふるった。隣には、前回住民投票で反対派として激しく対立したかつての政敵、公明党府本部の佐藤茂樹代表の姿があった。

 昨年4月の大阪府知事・大阪市長ダブル選での維新大勝を受け、都構想推進にかじを切った公明。代表同士が肩を並べて街頭演説を行うのは初めてのことだ。

 佐藤氏は「1年半前は松井市長の対立候補の宣伝カーであいさつした」と振り返り、「隔世の感がある」と感慨深げな表情。「前回の都構想の設計図は不十分な内容だったが、維新と公明とで建設的な議論を積み重ね、見事良いものに生まれ変わった」と強調した。

 維新議員は「同じ方向を向ける党があり、それが組織力のある公明というのは心強い」と期待をにじませる。

 “密”避け街頭活動

 推進派にとって、維新以外の政党が反対に回った前回に比べ、今回は有利な状況だ。ただ、新型コロナウイルスによる活動の制約が影を落とす。

 松井氏や維新代表代行の吉村洋文知事は、コロナ対応のため告示日までは街頭活動を抑制。市主催の住民説明会も縮小せざるを得ず、市民からは「説明不足」との指摘が絶えない。

 「本来なら大勢のみなさんに集まってもらいたいが…。事前告知はできないんです」。この日の街頭演説で、松井氏はこう釈明。松井、吉村両氏がマイクを握ると100人以上の聴衆が集まったが、新型コロナ前に維新が行った街頭演説に比べれば、その数はかなり少ない。2人は投開票日までそれぞれ全24行政区を回る予定だが、事前告知はせず、密を避けて住宅街などでゲリラ的に演説する予定だという。

 公明も、新型コロナのため党員や支援者への説明を本格化できたのは9月から。松井氏からは「支持層の9割を賛成にしてほしい」との“注文”がついたが、まずは方針転換の理由を支援者に理解してもらうことが最重要課題。今後、支援者向け説明会のほか、主要ターミナル駅での街頭活動も実施し、一気に活動のギアを入れたい考えだ。

 ある公明府議は「まだ理解されていない方もいる。丁寧に説明したい」とする。公明支援者の男性会社員(44)は、「これまでの経緯もある。推進と反対双方の意見を聞いて決めたい」と話した。

 維新政治の総決算

 松井氏は住民投票が否決されれば、令和5年春の市長任期満了とともに政治家を引退する意向を示している。今回の住民投票は、維新が大阪のかじ取りを担ってきた10年間の総決算ともいえる。

 告示2日前の10日、松井氏は党本部で開いた全体会議で、所属議員にこうげきを飛ばした。「われわれはこの10年、市民の方を向いて政治をやってきた自信がある。最終決戦、全力を尽くしてもらいたい」

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