高論卓説

国慶節で大賑わいの中国 コロナから「脱却」で個人消費活況

 今年の中国国慶節は普段とは状況が異なる。10月1日は新中国建国の日であるが、今年は「陰暦8月15日」、すなわち中秋節が重なり、お祭りムードがより盛り上がった。そして同時に、新型コロナウイルス流行後、初の8日間大型連休となったことである。

 この特殊な状況で、中国の消費者はどのように連休を楽しんだのだろうか。目下の中国の報道を見てみると、4日の時点で4.4億人、7日までで6億人強という人出、旅行収入も4543.3億元(約6兆8150億円)とコロナの影響を感じさせない様子となっている。

 2019年は中国文化部の発表によると7日間で7.82億人、うち海外旅行へ出かけた消費者は700万人。国内旅行収入6497.1億元とされていた。昨年比では若干下回っている様子であるが、それでもコロナの影響を感じさせない勢いだ。

 電子商取引(EC)大手の京東集団(JDドット・コム)の発表によると、6日時点で湖北省の消費は前年同期比で30%増、また他都市から湖北省特産品のオーダーは同じく60%という伸び。大きな感染地となった湖北省でもその消費が例年並みに戻りつつあり、また全国的に湖北省の物産を購入して復興を応援しようと動きがあるように見られる。

 また、注目は「中国のハワイ」ともいわれる海南島。同島では11年から施行されていた「離島免税政策」の免税上限が7月より大きく緩和され、中国消費者は国内旅行でも同島内の免税店で10万元まで免税ショッピングが楽しめるようになっている。その中心地である三亜免税城では5日間で5.3億元と昨年同期比136.9%の伸びを見せた。

 これだけ見れば、この国慶節でも中国の消費の戻りを感じさせる。ただ、日本側が気になるのは「本当にそんなに移動して、コロナの感染は大丈夫なのか」という部分であろう。筆者は疫学の専門ではないので、本当に中国が新型コロナを抑え込んだのかを断言することはできないが、中国の友人と話をしていると、「中国の新型コロナは収束した」という意識が強い様子が感じられる。WeChat(ウィーチャット)で話をしていても「日本はなぜ今も抑え込めないんだ」と逆に心配されることも多い。ここに日中の物事の意識差が見えて興味深い。

 日本では完全に撲滅することは不可能として「ウィズコロナ」、新型コロナがあることを前提に、予防を意識した生活を目指している。そのため9月の連休中でも繰り返し予防を訴え、中には観光刺激施策に疑問を呈する人もいる。

 だが、中国では「アフターコロナ」、すなわち新型コロナはもう終わったこと、という意識が見え隠れする。その背景にあるのは徹底した隔離対策、ITを多用した一人一人の行動管理、そしてそれらを元に「われわれは抑え込んだ勝利者だ」という政治宣伝による自信といったもの。

 ただ、本質的に「リスクコントロールした」と認識すれば、意識をポジティブな未来に向ける気質が強い国なのである。

 このまま突っ走った中国がどうなるのか、ウイルスの感染、インバウンド消費といった面で日本にとってもひとごとではない。こうした中国の「気質」を理解した上で、冷静な観察、判断をしていかねばならないだろう。

【プロフィル】森下智史

 もりした・さとし 中国トレンドExpress編集長。1998年2月から2015年5月までの17年間、中国・上海に滞在。上海では在留邦人向けのフリーペーパーの編集・ライター、産業調査などに従事。帰国後の18年1月に日中間の越境EC支援会社トレンドExpressに入社し、現職。

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