国内

NHK、テレビ設置届け出の義務化要望 氏名照会も求める

 NHKは16日、受信料制度のあり方などについて検討する総務省の有識者会議分科会で、家庭や職場にテレビを設置した際にNHKへの届け出を義務化する放送法改正を要望した。合わせて、NHKとの受信契約を結んでいない世帯の居住者氏名や、転居した際の住所などの個人情報を公的機関などに照会できる制度の導入も求めた。

 放送法は64条で、NHKの放送を受信できるテレビなどの受信機を設置した人に対し「放送の受信についての契約をしなければならない」と定めている。NHKは現在、未契約者に対して訪問や文書で契約を促しているが、テレビ設置の有無を確認できないケースもあり、訪問をめぐるトラブルも起きている。また、人海戦術に頼るため、多大な人件費もかかっている。

 NHKの松坂千尋専務理事は分科会で、「公平負担の徹底と営業経費の大幅な削減、クレーム抑止が可能になる受信設備の設置届け出義務の設定と、未契約者の氏名などの照会の導入に向け、放送法の改正をぜひお願いしたい」と述べた。

 こうした制度ができれば、テレビ設置を届け出ない未契約者について自治体や電気、ガスなどの企業に氏名を照会できるようになる。NHKは照会を通じて未契約者を特定して郵送などで届け出を促す意向だ。それでも応じない場合には「訪問による対応や複数回の通知を行ったうえで最終的には訴訟を提起することも視野に入れる」(松坂専務理事)としている。

 NHKの要望に対し、分科会の有識者からは、慎重な対応を求める意見などが出た。NHKは8月に公表した次期経営計画案で新たな受信料値下げを見送っており、NHKを利することにつながる制度改正について、国民の反発が高まる可能性もある。

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