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米大統領選まで2週間 中国にとってどちらが“手ごわいか”

 米国の大統領選まで2週間となった。中国はどちらの候補がより手ごわいとみているのだろうか。(元滋賀県立大学教授・荒井利明)

 トランプ政権は中国やロシアが大統領選に干渉しようとしていると非難しているが、中国外務省の報道官は、「米国の大統領選は米国の内政で、興味はなく、干渉したこともない」と否定し、「中国の対米政策は一貫している。米国と衝突、対立せず、相互尊重、協力・ウィンウィンの実現に努めるとともに、国家の主権、安全、発展上の利益を断固として守る」と強調している。

 米国の調査機関、ピュー・リサーチ・センターが6月から8月にかけて実施し、今月上旬に公表した世論調査によると、米国民の対中感情は非常に悪化しており、中国に好意を持っていないと答えた者は73%に上った。同様の調査が行われた2005年以降では最悪で、米中関係が悪化するに伴い好感度が減少し、18年の47%が19年には60%に上昇していた。

 こうした国民感情もあって、大統領選は中国に対する強硬さを競うものともなっており、トランプ、バイデンの両候補はともに、中国が本当に嫌っているのは私だと言い合っている。それが票に結び付くと信じているからである。

 かつては、クリントンであれ、息子のブッシュであれ、選挙戦では厳しい中国批判を展開しても、大統領に就任すると、現実的な対中関与政策をとるのが常だった。だが、今回はいずれの候補者が当選しても、悪化した両国関係が改善に向かうことはないとの見方が一般的である。

 中国は本心ではトランプの再選を望んでいるとの見方もある。トランプは「米国第一」の一国主義によって同盟国との間に不協和音を招いており、国際機関からの相次ぐ撤退で国際社会での指導力を低下させている。これは一超多強から多極化への移行を望む中国にとって好ましいものである。

 バイデンは当選した場合、同盟国との関係を改善し、国際機関への復帰を進めるものとみられる。中国はバイデンが同盟国と協調して圧力をかけてくるのではないかと危惧しているともいわれる。

 もっとも、中国はトランプよりはバイデンの方がましと考えているとの見方もある。その理由の一つは、トランプは言動に一貫性がなく、次の言動を予測しにくいが、バイデンの政策、行動は比較的予測可能だからというものである。(敬称略)

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