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大阪都構想の住民投票、コロナ感染した宿泊療養者は投票できるのか

 大阪市を廃止し、4特別区に再編する大阪都構想の住民投票(11月1日投開票)。告示翌日の13日に始まった期日前投票では、25日までに有権者約223万6千人の約10%に当たる22万6893人が投票した。66・83%と高い投票率だった平成27年5月の前回は35万9203人が期日前投票したが、その前回同時期より約24%多い状況だ。ただ、新型コロナウイルスの感染状況によっては低投票率も懸念されるため、市選管は投票時間を26日から延長して対応している。

 「鉛筆はこちらからお取りください」。15日午後、大阪市北区役所に設けられた期日前投票所では、マスクを着用した職員がビニールシート越しに有権者へ投票用紙を渡し、こう話しかけた。用意されていたのは、使い捨ての鉛筆。有権者は一定の間隔があけられた記載台で投票用紙に記入した。投票を終えた無職女性(74)は「対策がしっかりされていると感じ、安心した」と話した。

 各区役所など期間中計32カ所で実施される期日前投票では感染防止のため、徹底した対策がとられている。

 市選管はコロナ下の7月に行われた東京都知事選の投票所の対策を参考に、順番待ちは約2メートル間隔とし、目印をつける▽記載台の間隔をあけ、こまめに消毒する-など約40項目のチェックリストを作成。各投票所で感染が拡大しないよう、神経をとがらせる。

 市のホームページには過去の選挙で期日前投票所が混雑した時間帯などを掲載。最もすいているのは「午前8時半~午前9時ごろ」、混み合う時間は「午前10時~午前11時」と紹介し、「密」にならない時間帯を選ぶよう促している。

 ただ、市選管が当初全24行政区で計画した期日前投票所の増設は4カ所にとどまった。感染拡大の懸念から商業施設や学校などが拒否するケースが続出したといい、実現したのは此花、港、大正、城東の4区のみ。市の担当者は「感染者が出た場合の風評被害を懸念する意見が多かった」とする。投開票日直前の26~31日は投票所を訪れる有権者が増えることが予想されるため、投票時間を1時間延長し、午後9時までとしている。

 前回は計140万6084人が投票し、うち25・54%が期日前投票だった。今回、最終的な期日前投票の割合はさらに高くなるとみられる。

 ただ、コロナの感染者数が増えれば、外出を控える人も多くなる。実際、7月の東京都知事選の投票率は55%で、平成28年の前回(59・73%)から4・73ポイント下回った。大阪市の担当者は「対策は徹底しているので、安心して投票してほしい」と呼びかけている。

 宿泊療養者は投票できる?

 新型コロナウイルスに感染し、宿泊施設で療養している有権者は投票に行くことはできるのか。大阪市保健所は、感染拡大防止の観点から、宿泊療養者が外出することを原則禁止。ただ、選挙は「不要不急の外出」ではなく「民主主義の根幹」で、そもそも外出禁止に法的根拠はない。判断は、有権者個人に委ねられている。

 府内の宿泊療養者は26日時点で151人。大阪市内在住の有権者はその一部とみられる。

 市選挙管理委員会によると、医療機関に入院中などで投票所を訪れることが難しい有権者に対しては「不在者投票」の仕組みがあるが、新型コロナの宿泊療養者は対象外。このため、感染者専用の投票所設置も検討したが「個人や人権への配慮から難しい」(市担当者)と断念した。

 市選管は宿泊療養者も含めた感染者の投票について、「投票は飛(ひ)沫(まつ)も飛ばず、時間も短い。感染症対策を徹底した上で投票してもらえれば」とし、外出の可否は市保健所や医師らに相談した上で判断してほしいとの見解を示す。

 一方、市保健所の担当者は「外出禁止は強制ではない」としつつも「感染拡大防止の観点から『どうぞ投票に行ってください』とは言いづらい」と明かす。

 7月の東京都知事選でも告示時点で宿泊療養者が40人おり、同様の問題が発生。都選管の担当者は「規定がなく悩ましかったが、投票は有権者の意向次第とした」と説明。結局、投票に行った宿泊療養者はいなかったという。

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