海外情勢

トランプ氏、女性票で苦戦 再選阻止に草の根運動も

 【オハイオ州クリーブランド=上塚真由】11月3日の米大統領選で再選を目指す共和党のトランプ大統領(74)が女性票の取り込みに苦戦している。新型コロナウイルスの感染対策や人種問題への対応に批判が高まり、女性の支持率は民主党のバイデン前副大統領(77)に大きく水をあけられている。トランプ氏は最終盤での支持回復を狙うが、「反トランプ」で結束する女性の草の根運動も広がっており、容易ではない。

 大統領選の投開票日まで1週間を切った10月28日正午。激戦州の一つ、中西部オハイオ州クリーブランド市のコーヒー店では、マスク姿の女性たちが最後の週末に向け、バイデン氏への投票を呼びかける選挙活動の準備にいそしんでいた。

 集まったのは「草の根の抵抗」という市郊外の女性たちのグループ。4年前のトランプ氏の勝利を受けて10人で発足し、現在は主婦や元教師、弁護士など約250人が参加する。目的はトランプ氏の再選阻止だ。

 「女性を侮辱するトランプ氏は指導者でも何でもない」と、代表のスーザン・ポラコフ・ショーさん(61)。「4年前、(トランプ氏の勝利を受けて)私たちはただ泣いてワインを飲むだけだった。だが、今回は違う。これまで選挙に関心を示さなかった女性からも反響がある」とショーさんは手応えを語った。

 こうした動きはオハイオ州に限らない。米ハーバード大のシーダ・スコチポル教授によると、「反トランプ」を掲げる女性たちの草の根組織は全米に約2500も存在するという。

 トランプ氏が女性からの支持で劣勢にあることは世論調査にも表れている。22日公表の米キニピアック大の調査では男性の支持はバイデン氏41%、トランプ氏48%に対し、女性はバイデン氏60%、トランプ氏34%。2016年の前回大統領選で米主要メディアが実施した出口調査で女性の支持がクリントン氏54%、トランプ氏41%だったのに比べても低くなっている。

 女性票の中でもとりわけカギを握るのが、都市部の郊外に住む白人層だ。都市部や農村部と比較して無党派層が多いとされ、前回大統領選では、地域社会の治安維持を訴えたトランプ氏が支持を広げ、民主党候補だったクリントン元国務長官に勝利した要因の一つとなったとされる。

 子育て中の人も多い郊外の白人女性は家族の安全を第一に考えるとされ、トランプ氏は今回の選挙戦で人種差別抗議デモに伴う暴動に厳しい態度で臨み、治安対策の重要性を訴えてきた。ただ、ワシントン・カレッジのメリッサ・デックマン教授はこうした戦略は奏功していないとし、「郊外の女性は、暴動で被害を受けた人よりも、新型コロナによって死亡した人の存在を多く知っている。今回の選挙では、コロナ対策が何よりも重要となっている」と指摘した。

 長年の共和党員で、前回はトランプ氏に投票したクリーブランド市郊外の白人女性、パット・マケーナさん(72)は期日前投票で民主党のバイデン氏に一票を投じた。「トランプ氏は『コロナは収束に向かっている』というが、オハイオ州では拡大している。口を開ければ、自分の都合のよいことばかりで信用ならない」という。

 一方、反トランプ感情の高まりの中でも、揺るがない女性支持者が存在することも事実だ。デザイナーの白人女性(57)は周囲に明かさずトランプ氏に投票するといい、「私のように隠れたトランプ支持者はたくさんいる。何十年もかけて成果が乏しい政治家よりも、仕事ができるトランプ氏を選ぶ」と語った。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus