農林水産省が新型コロナウイルス対策で野菜や果樹などの農家を支援する交付金の要件を10月になって厳格化し、生産現場で混乱が起きている。交付金を当て込んで既に農機具などに先行投資を行っている農家も多いため、農水省は30日、要件厳格化で影響を受ける農家の救済措置を発表。ただ、「泥縄式」とも映る対応には批判が出そうだ。
この交付金は「高収益作物次期作支援交付金」。コロナ禍で打撃を受けた野菜や花卉(かき)、果樹、茶などの作物の次期作に取り組む農家を支援する目的で、令和2年度第1次補正予算に約242億円が計上された。
農家が申請しやすいように要件を簡素にした結果、6月から8月までの申請額は予算額の2倍近くに達した。ただ、申請の中にはコロナ禍の影響とはいえないものもあり、農水省は10月12日になって急遽(きゅうきょ)、要件を厳格化。減収した作物を対象とするほか、交付金を支払う範囲は減収額を上限とするなどの見直しをした。
ただ、この見直しは生産現場の混乱を招いた。交付金を当て込んで既に農機具や資材に先行投資している農家にとって、当初見込んでいた交付金の額を確保できなくなれば自己負担が生じる。
交付金の要件厳格化について、全国農協青年組織協議会の田中圭介会長は27日、記者団に「既に次期作に動き出している農家がいる中で要件が大きく変わり、現場は不信感しかない」と批判。自民党農林族からも善処を求める声が上がっていた。
混乱を受け、農水省は30日に救済措置を発表。要件厳格化によって交付金が減額またはゼロになるにもかかわらず既に先行投資をしている農家を対象として、先行投資した金額について要件厳格化による減額分を上限に追加で支援する。
野上浩太郎農水相は30日夕、省内で記者団の取材に応じ「関係者に負担をかけていることは大変申し訳なく思っている」と述べた。