5時から作家塾

「GoTo丹東」で反米キャンペーン 愛国心に火をつける中国政府 (2/2ページ)

 「抗美援朝精神」と「志願兵」

 中国の官製報道を観ていると繰り返し登場するのが、「抗美援朝精神」と「志願兵」だ。

 前者は、北朝鮮だけが主張する「朝鮮戦争は北進によって始まった」という史観に基づく。事実、中国も80年代までは北朝鮮同様に北進で歴史を教えていたようだ。しかし、ソ連崩壊後に明らかになった機密文書で、朝鮮戦争のきっかけは北朝鮮による「南進」だったことが事実として確定後の現在は、中国の公式史観でも北朝鮮による南進が朝鮮戦争のきっかけとなっている。そう、完全に矛盾しているのだ。

 中国政府は、あくまで当時の偉大な精神として都合よく分離することで、抗美援朝精神を繰り返し登場させているのだろう。

 後者の志願兵は、中国が積極参戦したものではないという意思を示すために毛沢東が中国人民解放軍東北辺防軍を中国人民志願軍と命名した経緯がある。

 志願は日本人が作り中国へ逆輸入された和製漢字なので、意味は同じだ。ボランティア、つまり、望まない戦争だが平和を守るために中国が自発的に立ち上がって侵略国アメリカと戦った。そして中国政府は勝利した、と一方的に言っており、対米戦勝利へ導いた中国共産党への求心力集めにも活用している。

 また、最近の一連の官製報道を観ていると、現在は“台湾を侵略しようとしているアメリカへ断固対抗しないといけない”とのすり替えが始まっているように感じさせる。

 冷めた目で見ている人も

 もっとも中国人の中には冷めた目で見ている人も少なくない。著者が連絡をとる中国人は、「朝鮮戦争のニュース、映像ばかりで日本のニュースがない」と嘆き気味。異常だと感じるが、表立って批判する人はいないという。

 丹東抗美援朝記念館は新型コロナ対策で事前にオンライン予約が必要だ。午前・午後でそれぞれ1500人の入館制限をしている。官製インフルエンサーまで動員してSNS中心に盛り上げたがリニューアルオープン当日9月20日もチケットは半分以上残っていた。

 ちなみに中国の博物館や記念館はすべて無料。“教育”と位置づけられているからだ。日本人も無料なので、また渡航できるようになったら訪れてみるといいかもしれない。

 リニューアル前には満州国や日中戦争コーナーがあり、事実とは程遠い日本関連の展示もあったので、どう変わったかぜひ確認したい。(筑前サンミゲル/5時から作家塾(R)

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5時から作家塾(R) 編集ディレクター&ライター集団
1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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