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コロナ対策の優劣が明暗を分けた米中の国力

 いよいよ注目の米大統領選である。選挙戦では中国と新型コロナウイルスへの対応が争点となったが、感染制御の成否が米中両国間の「力」の差に影響をもたらし、中国に有利な状況が生まれている。(元滋賀県立大学教授・荒井利明)

 国際通貨基金(IMF)が先月上旬に発表した5年後までの国内総生産(GDP)の予測によると、感染制御でいち早く成果を挙げた中国の今年の国内総生産(GDP、ドル換算)は1.85%のプラス成長となる。これに対し、コロナ対策に失敗した米国は4.27%のマイナス成長となる。コロナ対策の優劣が明暗を分けたことは明らかである。

 IMFによると、2019年に米国のGDPの68.7%だった中国のGDPは、25年には89.6%に達する。この予測が大きくはずれなければ、中国のGDPは20年代に米国のGDPを上回り、世界最大になるとみられる。

 コロナ前の昨年10月、IMFは24年の中国のGDPは米国の81.3%になると予測。今回の予測では、5ポイント近くも多い86.0%に増える。コロナ対策の違いによる影響は明らかで、米中のGDPの逆転はコロナによって早まることになりそうだ。

 また、オーストラリアの調査機関「ローウィー研究所」が先月中旬に発表したアジア太平洋地域26カ国・地域の20年版「アジアパワー指数」によると、ハードとソフトの力を合わせた総合力において、米国が依然として首位を維持したものの、中国との差がかなり縮まった。

 18年は85.0、昨年は84.5だった米国の指数は81.6にまで低下し、18年は75.5、19年は75.9だった中国は76.1に上昇した。米中間のギャップはこの2年間で4割以上も縮小したことになる。同研究所は、米中両国のコロナへの異なる対応によって、両国間の総合力の差が縮まったと分析している。

 経済力は総合力を構成する重要なファクターで、GDPの差の縮小は総合力の差の縮小をもたらす。だが、軍事力も重要なファクターで、米国の軍事的優位はなお続くとみられるだけに、総合力において、中国が米国を追い越すのはそれほど容易なことではない。

 ただ、中国は、18年には自然科学系論文数で、19年には国際特許出願件数で、いずれも米国を追い抜いてトップになるなど、科学技術力でも米国を追い上げており、両国の覇権をめぐる争いは今後、ますます激しくなりそうだ。

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