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30年度基準達成車を免税へ、21年度税制改正でエコカー減税延長

 2021年度税制改正で最大の争点となるエコカー減税の延長について、政府・与党の見直し案の概要が3日、分かった。来年4月末に迎える期限を約2年延長するのを認める代わりに、より厳しい環境性能を求める「30年度燃費基準」を達成した車を免税にするなど対象車種を絞り込む。新型コロナウイルス感染拡大で低迷する自動車需要を税制で喚起する方針で、30年度基準を10~20%程度下回る燃費性能の車も免税対象に加えるかを論点に、税制改正大綱をまとめる年末に向け議論する。

 エコカー減税は、車検時に納める自動車重量税を、燃費性能に応じて軽減・免除する優遇措置。優遇の対象車の指標となる30年度の燃費基準値は、現在採用している20年度基準より平均で3割程度の燃費改善を求めた高い目標値であるため、基準の達成車は免税が妥当と判断した。

 ただ、30年度基準を達成する車は、現状で一部のハイブリッド車(HV)に限られ、「販売台数の1割程度」(経済官庁関係者)とされる。車販売を税制で促したい経済産業省や自動車業界は「新車4台のうち3台がエコカー減税対象、そのうち1台が免税の現状を維持したい」(同)と訴えており、30年度基準を10~20%下回るガソリン車も免税対象に加えたい考えだ。

 一方、地方財源である自動車関連の税収を確保したい総務省や財務省は、同基準を10~20%下回った車は、免税でなく減税とすることで徴税余地を残し、税収の減少を避けたい思いがある。ある財務省関係者は「より環境性能の高い車の普及を促すには、厳しい免税基準を設けるべきだ」と主張しており、年末に向けて議論が白熱しそうだ。

 また、エコカー減税とは別枠で車購入時に燃費に応じて優遇措置を上乗せする「環境性能割」も、30年度基準達成車は非課税とし、基準を10~20%程度下回る車の税率の軽減割合について議論する。新たな税率割合を基に、春に講じた環境性能割の臨時減税の内容を見直し、期限を迎える来年3月から半年~1年程度延長する方向で検討する。

 燃費性能の高い電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などは引き続き車検時や購入時の税負担は免除する。

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