海外情勢

最大の関心は経済 コロナ対応、景気懸念で「トランプ降ろし」不発

 【ワシントン=塩原永久】米大統領選の出口調査の結果からは、トランプ大統領の政治手法に関する「信任投票」となった選挙の性格が浮かび上がる。トランプ氏は新型コロナウイルスや人種問題への対応で批判を受けたが、有権者の最大の関心は経済で、景気回復へ向けた手腕では民主党候補のバイデン前副大統領より高い期待を集める。このほか、勝敗が注目された大票田の南部フロリダ州ではヒスパニック(中南米)系ら非白人層の関心に応える周到な戦略を展開、2016年の前回選挙より票を上積みした。

 最大の関心は経済

 AP通信の調査結果によると、有権者の3分の2が「賛成でも反対でもトランプ氏への意見を表明するため投票した」と答え、国民が現職大統領の信任を問う選挙と位置づけていた。

 米国は世界で最多の新型コロナの感染者を出し、トランプ氏はバイデン氏から「失政」と批判された。流行を「押さえ込んでいる」とするトランプ氏の認識に同意する人は、有権者の半数にとどまった。

 一方、CNNテレビの調査で、投票にあたり最も重視した政策は「経済」(34%)が最多で、「人種の不平等」(21%)や「新型コロナウイルス」(18%)を上回った。別の世論調査では、トランプ氏の経済政策への手腕への期待はバイデン氏より高く、景気低迷に対する不安がトランプ氏に「追い風になった」(米紙)と指摘されている。

 「社会主義」の警鐘

 フロリダ州は大統領選で頻繁に勝利政党が入れ替わる「スイングステート(揺れる州)」の代表格。1996年以降は、すべての選挙で大統領に当選した候補を選んできた。

 トランプ氏は頻繁に同州を訪れ、州人口の4分の1を占めるヒスパニック系に照準を合わせた選挙戦略を展開。ロイター通信の出口調査で、ヒスパニック系を含む非白人層の約3割の支持を獲得し、前回選挙より1割の上積みに成功した。

 同州には社会主義政権のキューバなどから逃れてきた住民が多い。トランプ氏は集会で、バイデン政権が民主党左派の「社会主義者に乗っ取られる」と繰り返して警戒感をあおり、支持に結びつけた。

 白人労働者は減少

 トランプ氏には逆風も吹いた。前回選挙で、雇用を海外から取り戻すと訴え、中西部の激戦州を抱える「ラストベルト(さびた工業地帯)」の白人労働者層に浸透して初当選した。

 だが、米シンクタンクなどの統計では、16年からの4年でトランプ氏支持が多いとされる非大卒の白人が有権者に占める比率は4ポイント減の41%に低下。前回はミシガン州などの激戦州で対立候補に1ポイント未満の僅差で勝利しただけに、この支持層の減少は当落に直結する不安要素だった。

 トランプ氏は選挙戦の終盤に全米各地を飛び回り、票の掘り起こしを進めた。一方、バイデン氏は感染対策を重視して集会型の選挙運動を手控えた。米メディアによると陣営からは終盤の失速に不安の声も出ていたという。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus