国内

「温室ガスゼロ」に原発運転最長60年の壁 女川再稼働同意

 菅義偉(すが・よしひで)首相が表明した2050年までの温室効果ガス排出量の実質ゼロ目標の達成には、発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない原発の再稼働が欠かせない。一方で政府は原発の新増設やリプレース(建て替え)について「現時点では想定していない」としており、識者からは懸念の声も上がる。

 「再生可能エネルギーのみならず、原子力を含めてあらゆる選択肢を追求していく」-。菅首相は10月28日の衆院本会議での代表質問で、温室効果ガス排出量を50年までに実質ゼロにする目標についてこう述べた。

 政府が主力電源化を目指す再エネは原発と同じく発電時にCO2を出さないが、天候に左右され不安定で、電気を大量にためる蓄電池の技術開発も必要だ。また、CO2を効率的に回収し燃料や原材料として再利用することで大気へのCO2排出抑制につなげる取り組みも、技術の確立や商業的に成り立つ水準へのコスト低減が課題となる。

 「50年までに実質ゼロ」の目標達成には、原発を一定程度使う必要がある。

 ただ、東京電力福島第1原発事故を教訓とした新規制基準の下で再稼働したのは5原発9基にとどまり、平成30年度の発電電力量に占める原発の比率は約6%と低い。梶山弘志経済産業相は「この10年間は再稼働への努力期間」と話す。

 政府は、原発の新増設や建て替えは「現時点では想定していない」とする。現行のルールでは原発の運転期間は原則40年で、延長が認められても最長60年だ。

 国際大学大学院の橘川武郎教授は「国内には、稼働実績があるとともに廃炉が決まっていない原発が33基あるが、そのすべてが60年まで延長したとしても、新増設や建て替えがなければ2050年には18基、60年には5基しか残らない。今から手を打たないと、政府が原発を『脱炭素化』の選択肢と位置付けても意味がない」と指摘する。(森田晶宏)

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