国内

女性ビジネスの成長支援 米団体に日本企業が初参画

 女性が経営する企業を認証し、多国籍企業から発注を受けられるようにして成長を促す米国の非営利団体「ウィコネクトインターナショナル」に今年、発注側の企業として大手製薬会社「武田薬品工業」(大阪市中央区)など日本企業2社が初めて加わった。日本国内を含むグローバルな展開をめざす武田は「日本で女性が経営するビジネスを、当社の供給網にどのように組み入れられるかについて学びたい」としている。(加納裕子)

 ウィコネクトインターナショナルは2009年、米国で誕生。世界48カ国で女性企業の認証を進めており、国内では18年から今年10月末までに17社が認証されている。女性が経営者だったり、51%以上の株式を所有していたりする企業について、専門の査定人が経営実態などを審査する。

 武田は米国や欧州、アジアなど約80カ国に拠点を持ち、売り上げの半分を米国が占める。これまでは米国市場で「サプライヤー・ダイバーシティ(供給元の多様化)・プログラム」に取り組み、女性が経営する小規模企業の育成を進めてきた。この取り組みを世界中に拡大すべく、ウィコネクトとの提携を申し入れたという。

 同社はウィコネクトについて「女性経営者が世界市場で競争できるようにし、成功に導くことにおいて素晴らしい成果を収めている」と評価。今後、効率的に供給元を多様化するための計画を策定し、数年以内に世界中で本格展開させる予定だ。参画の狙いについては「グローバルなバイオ医薬品企業として、私たちが引き続き成長を実現することにもつながる」としている。

 もう1社は自動車用計器などを製造販売する「日本精機」(新潟県)。現時点では地域を限定し、メキシコ市場のみを対象としている。

 ウィコネクトインターナショナルの認証を受ける国内企業は増え続けている。今年6月に認証された京都市の企画会社「ルゥルゥ商會」は国際イベントをコーディネートするとともに、上質な国産品の輸出も行う。代表取締役の地野裕子さん(37)は「大企業のニーズを勉強しつつ、国内で認証された女性企業とも連携していきたい」と話し、日本企業の発注側への参画を歓迎する。

 京都出身の地野さんは証券会社勤務などを経て平成27年、同社を創業。地元の職人が伝統技術を駆使して作った服飾品の海外販売を企画したり、国際的な会議やイベントのコーディネートなどを手掛けたりしてきた。

 今年は新型コロナウイルスの感染拡大で、海外との取引が滞ったが「国産のものを見直すきっかけになった」。しっかりした縫製でデザイン性もある国産の医療用ガウンをプロデュースしたり、観光地としての京都をアピールする企画を手掛けたりと奔走し、「ウィコネクトを通じて日本の技術を伝え、企業側が必要とするアイデアを提供したい」と意気込んでいる。

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