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新型コロナで航空貨物業界に好機 真価が問われる“強力な市場”の関空 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの影響で大きな打撃を受けている航空業界では、貨物輸送にスポットライトがあたっている。旅客便需要が冷え込んだままなのに対して、経済活動を支える貨物便は荷物を満載。行き場をなくす荷物も出始めるほどだ。関西国際空港では大型の貨物専用機も登場。さらに今後はワクチンなど医薬品の輸送増も見込まれており、航空貨物ビジネスの好機をうまく捉えられるかが、関空の浮上のためのカギにもなりそうだ。(牛島要平)

 スペースがない

 「航空機の貨物スペースの確保が難しく、取り合いになっている。日程や料金の面でお客さんの希望に応え切れない」

 国際貨物の航空便を手配する運送業者の広報担当者はそう悲鳴を上げる。

 「輸送料金も全体的に高くなっている。日程をずらすなどして対応しているが、1時間ごとに(運航などの)状況が変わり、キャリア(航空会社)からは『無理です』と断られることもある」という。

 実は貨物スペースが不足しているのは、貨物の取扱量が増えているからではない。関空での貨物の総取扱量は米中貿易摩擦などを受けて平成30年から減り始め、昨年からはおおむね前年比10~20%減の状況が続いている。

 にもかかわらず需要超過になっているのは、座席の床下に貨物を収納することで、全世界の貨物輸送の約50%を引き受けてきた旅客便が新型コロナで大きく減ったのが理由だ。

 大型機を投入

 関空でコロナ前の昨年12月に1万2299回あった旅客便の発着回数は、今年9月には404回(速報値)まで減少。一方、貨物便は今年4月以降は毎月2千回前後で推移しているものの、旅客便が減った分を補えてはいない。関係者によると、貨物専用機のスペースに対する積載率は90%以上が続いている。

 このため輸送コストが上昇。今月19日に解禁日を迎えるフランス産ワインの新酒「ボージョレ・ヌーボー」を、通常の空輸ではなく鉄道での陸路輸送に切り替える業者も出るほどになっている。

 こうした中、貨物専用機の大型化に踏み切った航空会社がある。ドイツ・フランクフルトを拠点とする航空会社、ルフトハンザ・カーゴだ。日本国内4空港で就航し、関空では今月から来月上旬まではフランクフルト便を1便増やして週3便(往復)運航する。ANAホールディングス傘下のANAカーゴと提携し、日本と欧州をつなぐ航空貨物事業で30%以上のシェアを持つ。

 「関西と欧州をつなぐ貨物専用機として一番に選んでもらえるパートナーになる」。ルフトハンザ・カーゴのハッソ・シュミット日本支社長は10月27日、記者会見を開いて、意気込みを語った。

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