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中国、開発投資増で不動産テック興隆

 中国における不動産開発投資はリーマン・ショック以降、増加している。新型コロナウイルスの影響で一時的な落ち込みはあったが、再び拡大に転じた。感染拡大に伴う世界経済の低迷により投資家が、価格上昇が続く不動産に資金を移転していることが要因とみられる。

 不動産投資とともに拡大しているのが、「不動産テック」市場である。不動産テックとは、「不動産」と「テクノロジー」の造語であり、明確な定義はないが、企業の取り組み事例を踏まえれば「不動産業務プロセス自体のテクノロジーによる高度化」と言われる。

 2012年から17年6月までの不動産テックに関するスタートアップ企業の資金調達額は、30億4000万ドル(約3156億4320万円)と他のアジア諸国の中では突出して多額となった。物件の仲介やリース業務に関するものが総投資額の半数を超えており、不動産市場の過熱による取引件数の増加を背景に、利便性の向上や不動産情報の非対称性の解消を目的とした投資が増えたと推察される。

 物件数の増加に伴い、一般消費者と不動産事業者間の情報の非対称性は拡大しており、一般消費者にも分かりやすく不動産情報を提供するデジタルプラットフォームへのニーズも、スタートアップ企業の立ち上げを後押ししたと推察される。

 新型コロナにより非接触型サービスの需要は不動産業界でも高まっており、今後は不動産管理業務の自動化や、遠隔で清掃などのメンテナンスを行うロボット技術、ソフトウエアを活用した新サービスが、引き続き不動産テック市場の拡大を牽引(けんいん)すると予想される。(編集協力=日本政策投資銀行)

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