国内

民意は命と環境の両立、熊本県知事「脱ダム⇒建設容認」の転換点 (2/2ページ)

多いハードル

 蒲島氏が表明した川辺川での新たな流水型ダム計画について、県民からは「浸水被害を軽減できるのならダムを造るべきだ」「家族の人命、財産、生活を守ってほしい」と歓迎する声が上がる。しかし「自然の破壊は許せない」といった否定的な意見も根強く、反対派は近く集会も計画する。

 蒲島氏は全員協議会後の記者会見で「すべての県民が納得されるとは考えないが、従来の川辺川ダム(貯留型)を100%否定したことは1つの大きな前進ではないか。地球(環境)が大きく変わり、民意も変わった」と述べ、歩み寄りの可能性に期待を見せる。

 加えて、ダム予定地で計画に翻弄されてきた五木村を近く訪れ、関係者と対話する考えを示した。

 ただ、県内の対立が解消されても、新たなダム計画が乗り越えるべきハードルは多い。流水型ダムについて、環境への負荷や治水能力についての検証はこれからだ。また、ダムを治水専用とするのであれば、県が負担する事業費が従来の川辺川ダム計画より膨らむ恐れもあり、国土交通省をはじめ政府・与党との調整が重要になる。蒲島氏は20日に上京し、赤羽一嘉国交相と会談・要請した。

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