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「田舎は仕事がない」はウソ 農水省検討会で「複業」実践者が報告

 人口減少時代の新たな農村政策を考える農林水産省の有識者検討会の第6回会合が24日、省内で開かれ、新型コロナウイルス感染拡大により「低密度」な農村への移住熱が高まる中、農業を含む複数の仕事をする「マルチワーク(複業)」を実践する3組の個人や企業が実体験を報告した。

 この日、農水省側は、移住の大前提となる所得や雇用の確保への支援対象として(1)自営業者や雇用されている個人(世帯員)と、(2)多角的に事業を行う企業や地域課題の解決を担う「地域運営組織」といった事業体-に分類。それぞれの実践者をゲストに招いた。

 東京から平成28年に徳島県勝浦町へ移住し、ミカン農家を継いだ石川翔、美緒さん夫妻は、ミカンの生産を柱に、民宿、床張りワークショップ主催、古書販売、テントサウナと、2人で「5つの事業」に取り組む日々を紹介。「来年から国の就農給付金(農業次世代人材投資資金)が切れても、やっていけるかなと感じている」と手応えを語った。

 また、東京都出身の小山友誉(ともたか)氏は22年、国の「地域おこし協力隊」の一員として新潟県十日町市の豪雪地へ赴任し、そのまま定住。新聞配達や農業など複数の仕事をしながら、協力隊員仲間らと地域の課題に取り組む一般社団法人「里山プロジェクト」を運営する。

 小山氏は「『田舎は仕事がない』というのはウソ。小さな仕事がものすごくたくさんあって、たぶんお金には困らないし、そもそも年に200万~300万円あれば生きていける」と指摘。その上で「現在、一緒に活動する協力隊員は8人だが、コロナをきっかけに『東京に住みたくない』と移住希望者が増えており、来年度は15人か20人になりそうだ」と話した。

 岡山県西粟倉(にしあわくら)村で地域おこし企業「エーゼロ」を経営する牧大介氏は、16年以降に村で林業やウナギの養殖、獣肉加工など約45社が起業したと説明。「大手が手を出してこない小さな事業でも、45社で売り上げ約20億円というかたまりになる。絵本の『スイミー』のイメージです」と話した。

 座長で明治大の小田切徳美教授は「3組の話は多様な担い手についての議論。『半林半Xは邪道だ』といった意見もあるが、王道とか邪道ではなく、ふつうに取り組む人をサポートすべきだ。それはおそらく農地制度や金融の議論とも関わってくる」と指摘した。

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