国内

札幌・大阪発の旅行も「GoToトラベル」対象外

 菅義偉首相は27日の政府の新型コロナウイルス感染症対策本部で、観光支援策「Go To トラベル」に関し、感染が拡大している札幌、大阪両市を出発地とする旅行について、「利用を控えるよう直ちに呼びかける」と自粛を要請した。北海道と大阪府も首相の求めに応じ、事業の対象外となる方向だ。予約済みの旅行のキャンセルは無料とする。両市を目的地とする旅行はすでに対象外となっているが、さらなる対応を求めた専門家の提言を踏まえた。

 首相の表明を受け、大阪府の吉村洋文知事は「国と協力する。12月15日まで出発分の利用自粛を、大阪市民に協力をお願いしたい」と記者団に述べた。北海道の鈴木直道知事も、札幌市からの出発分の除外を受け入れる考えを示した。

 政府のコロナ分科会が25日、感染状況の基準で上から2番目の「ステージ3(感染急増)」相当となった地域について、出発分も除外を検討するよう提言していた。政府関係者は「システム変更に時間がかかるため、除外ではなく自粛要請になった」としている。

 政府は分科会の提言を受け、24日に両市を目的地とする旅行を3週間、事業対象から除外する措置を決めたばかり。専門家に押し切られ、小出しで運用を見直す対応が続いている。分科会の尾身茂会長は27日の衆院厚生労働委員会で、感染防止対策について「人々の個人の努力に頼るステージは過ぎた」と述べ、政府や自治体の対策を強化すべきだとの認識を示した。

 一方、感染状況は、大阪府などの主要都市圏で最も深刻なステージ4(爆発的感染拡大)の判断基準に迫りつつある。26日現在で、大阪府は6項目の指標のうち5項目で基準に到達。残る確保想定病床の使用率も基準の50%までわずかとなった。

 北海道や愛知は3指標、東京も2指標で基準を超えた。確保想定病床の使用率は北海道、東京、愛知、大阪、沖縄の主要5地点で40%を超えており、指標の一つである感染者数の前週比は全国平均でも基準を超えた。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus