社説で経済を読む

包囲網切り崩し狙う中国の「アメとムチ」 (2/2ページ)

 米政権の空白期狙う

 中国側も、供給網で「脱中国」を目指す日本の動きには神経をとがらせている。ビジネス関係者の往来再開は、日本企業の強い求めに応じた形だ。中国としては、日本企業を中国市場に引き付けておく思惑が背後にちらつく。

 あわせて米国は、トランプ大統領から民主党のバイデン前副大統領に代わる政権移行の空白期にある。米中関係で主導権を取りたい中国には絶好のチャンスと映るはずだ。日中の接近を演出することは日米の同盟関係にくさびを打ち込むことにもなる。

 日米がオーストラリア、インドとともに「自由で開かれたインド太平洋」をスローガンにスクラムを組む動きにも、中国は焦りがある。対中警戒感が欧州に広がりつつあることも気がかりだ。

 先日、日中を含む東アジアを中心とする15カ国が関税削減や貿易ルールの統一で合意・署名した「地域的な包括的経済連携(RCEP)」協定でも、中国は譲歩する姿勢を示した。しかし、期待された国営企業に対する過剰な保護政策など、中国にとって撤廃されると不都合な経済慣行は残されたままだ。

 習主席は先頃、米国が離脱したままの環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加を検討する意向を示したが、これも米国主導の「中国包囲網」を牽制(けんせい)する動きといえるだろう。

 多国間貿易において中国が主導権を握ろうとする動きについて11月27日付日経社説は中国にとって「TPP参加が単なる経済問題ではなく、国際政治戦略上の意図を持つ証拠」との見方を示し、「米中の力学を含め国際情勢は大きく動いており、十分に注意を払うべきだ」と注意喚起している。

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