矢板明夫の中国点描

日本食品禁輸問題 蔡政権のジレンマ (1/2ページ)

 「私たちは欧米のやり方を採用すべきで、中国のやり方を採用すべきではない」

 4日、台北市内の路上で記者団に囲まれた、台湾の駐日大使に当たる謝長廷・駐日経済文化代表処代表は、福島県などの日本産食品の輸入解禁問題についてこのように話した。

 11月に台湾に戻った謝氏は、新型コロナウイルスの感染予防に伴う14日間の自宅隔離を終えてから、蔡英文総統、蘇貞昌行政院長(首相に相当)らを相次いで訪ねた。メディアにも積極的に登場し、日本の食品輸入解禁問題などについて精力的に活動していた。

 2011年の東京電力福島第1原発事故を受け、当時の台湾の馬英九・中国国民党政権は福島県などの食品を輸入禁止とした。しかし、それは科学的データに基づく措置ではなく、生産地の地名だけを根拠にしていた。中国が実施した日本食品の禁輸措置と同じく乱暴なやり方で、日本政府から猛抗議を受けていた。

 16年に発足した蔡政権は規制緩和に前向きだったが、野党、国民党が主導した18年11月の住民投票で、禁輸継続が賛成多数となったため、これまで、投票結果とは異なる政策を実施できなかった。

 その投票結果に伴う禁輸継続の期限は11月下旬で終了した。謝氏を中心に台湾の与党、民主進歩党の知日派たちは「安全を確認したうえで、早く解禁すべきだ」と主張している。

 謝氏らが解禁を急ぐ理由の一つは、台湾が目指している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の参加への影響があるからだ。食品禁輸問題で、国際的な安全基準に準じる行動を台湾に求めている日本は、21年のTPPの議長国を務める。台湾を受け入れることに前向きな姿勢を示しているものの、食品禁輸問題では台湾に不信感がある。

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