5時から作家塾

豊作でお得だった2020年マツタケ でも来年以降は高騰傾向へ戻る? (1/2ページ)

 来年以降は高嶺の花?

 今年はマツタケ大豊作の年となり庶民には嬉しい価格で秋の味覚を堪能することができた。しかし、来年以降、マツタケは再び私たちの手の届かない高嶺の花となってしまうのかもしれない。

 メディアには「10年ぶり」や中には「60年ぶりの豊作」などの文字が踊ったこともあり、近年毎年話題となっていた北朝鮮産の偽装マツタケの話題は影を潜めた。

 今夏の日本は冷夏長雨がマツタケの豊作に結びついたと考えられるが、日本へ入ってくる外国産ではもっとも多い中国でも同じく、マツタケは豊作の年となった。

 中国では東北の吉林省と南部の雲南省が2大産地とされる。その中でも吉林のマツタケは、形、香り、味覚が国産に近いと言われる。

 今夏、中国は南部を中心に各地での大雨被害が話題となった。世界1の水力発電ダム「三峡ダム」崩壊が懸念され、日本でも報じられた。吉林でも長雨が続き、鴨緑江が増水し越水を心配する近隣住民を安心させるために洪水対策訓練が実施され、訓練はインターネットでも公開されたくらいだ。

 中国でもマツタケは豊作だった一方、新型コロナの影響で日中間の航空便が減少したため輸送が難しくなり、雲南産は日本へ出荷が大きく制限された。にもかかわらず、今年は国産が嬉しい豊作だったので影響は限定的となり、結果的に異例づくしのマツタケシーズンとなった。

 ブランド化されている「長白山マツタケ」

 北朝鮮産の偽装マツタケは隣接する吉林、その中でも延吉市場に多く並ぶ。しかし、今年は新型コロナ対策による中朝国境封鎖で中朝貿易が大きく減少しているため、北朝鮮からマツタケが入ってこなかった。例年だと北朝鮮産偽装マツタケが並ぶ延吉の市場にも今年は並ばず、ブランド化されている長白山(白頭山の中国名)マツタケが安く大量に並んだ。

 延吉の関係者によると、マツタケが出始める8月中旬には北朝鮮からの密輸マツタケが入っていたようだが、9月に入ると国境警備が厳しくなり、9月末には密輸も含めてほぼ入ってこなかったという。

 吉林のマツタケが豊作だったということは、北朝鮮のマツタケも同じく豊作だったと考えられる。しかし、中国のマツタケが豊作なため仕入れ価格は下がり、例年のように北朝鮮産マツタケを必要としなかったのが現実のようだ。

 そもそも、なぜ中国東北で北朝鮮偽装マツタケが売買されるのか。理由は実に簡単だ。儲かるからだ。「安く仕入れて高く売る」という商売の原則通り忠実に動いている。

 延吉のマツタケ業者へ取材すると、吉林産マツタケは、日本では国産の半額以下で売られている。北朝鮮産はその吉林産の3分1くらいの価格で仕入れられるという。3分の1で仕入れた北朝鮮産マツタケを吉林産と偽装して吉林産よりも少し安く値付けして販売する。つまり、北朝鮮産マツタケは3倍近い利益を叩き出すのだ。

 貴重な外貨獲得策

 マツタケは北朝鮮にとって貴重な外貨獲得になっている。北朝鮮はマツタケを食材や薬剤として使う文化があるが、大ぶりで形がよいものは輸出へ回す。中国朝鮮族の業者は北朝鮮と直接取り引きする許可を与えられており、現地を訪れて買い付け、輸送し、通関して中国へ運んでくる。これらのコストを含めても中国産の3分1程度で仕入れられるという。

 2016年、国連による経済制裁が強化されてからは北朝鮮からの輸入へ視線が厳しくなり密輸で運搬するケースも増えていたが、今年はその密輸も大幅に減少したとみられる。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus