国内

後発薬普及に逆風、信頼性揺らぐ業界「重大な問題」

 小林化工が製造した治療薬による健康被害の拡大は、品質管理が徹底されていたはずのジェネリック(後発薬)業界全体の信頼性を損ないかねない事態となっている。管理態勢の不備が原因とみられ、専門家は「利用拡大が進む後発薬の逆風となる」と懸念を示している。

 同社の小林広幸社長は12日、「後発薬への信頼に大きな影響を与えてしまった」と謝罪。同社が所属する業界団体の日本ジェネリック製薬協会は「協会全体に関わる重大な問題と受け止めている」とのコメントを発表し、会員企業約40社に管理を徹底するよう通知を出した。

 後発薬は患者の負担軽減や医療財政の改善につながるとして、政府が利用を促してきた。使用割合は平成25年の46・9%から大きく伸び、政府目標の80%に届かないものの、今年9月時点で78・3%まで拡大。法政大の菅原琢磨教授(医療経済)は、新薬と同じ基準の製造工程を取っていることなどから「業界全体の取り組みで社会の信頼を得てきた」と説明する。

 それだけに、今回の問題は「逆風となる残念な事案」と指摘。後発薬は新薬の特許が切れるとすぐに製造ラインを切り替えて対応する「多品種少量生産」が主流であり、供給力に対する不安から、導入には消極的な医療機関も少なくない。信頼を回復し、普及を拡大させるには「人員を確保し、教育が徹底できるかが課題だ」と強調した。

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