国内

脱炭素、中小支援策を重視 首相肝煎り戦略に傾斜配分

 21日閣議決定した2021年度予算案は一般会計総額が過去最大の106兆6097億円に上り、20年度第3次補正予算案と「15カ月予算」として一体で編成したことで、合計では122兆円超の巨大予算になる。新型コロナウイルス収束後を見据えた競争力の強化や民間需要の喚起を重視。デジタル化や脱炭素化といった菅義偉首相肝煎りの成長戦略に予算を傾斜配分した。景気下支えで国土強靱(きょうじん)化の公共事業費も積み増した。

 菅義偉首相が表明した「2050年カーボンニュートラル」に向け、脱炭素を目指す施策や新型コロナ禍でも事業継続を行えるよう中小企業対策に積極的に予算が振り向けられた。

 脱炭素に向けてエネルギー転換を図るため、「イノベーションによる脱炭素化の推進」の費用として、補正予算で組んだ2兆円の基金の創設とは別に、計4663億円を盛り込んだ。

 このうち、蓄電池や次世代太陽電池、洋上風力発電の導入拡大など再生可能エネルギーを主力電源として普及推進するために783億円を確保。二酸化炭素(CO2)を分離回収し、合成燃料などとして再利用する「カーボンリサイクル」も推進する。

 水素社会の実現に向けた研究開発費などにも707億円を盛り込んだ。20年度当初予算に比べ37億円増やした。

 原子力産業の進展に向けては、フランスや米国と協力した高速炉や小型軽水炉など、国際連携による新型炉の開発事業で56億円を計上。20年度当初予算より7億円増額した。

 原発の立地自治体向けの電源立地地域対策交付金は、北海道の寿都町と神恵内村で行う高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定の文献調査費用などを含め754億円としたほか、原発立地地域やその周辺での再エネを活用した地域振興ビジョン策定促進に72億円を充てた。

 一方、コロナ後の事業再構築などに向け、中小企業の取り組み支援も強化した。ITシステムの導入サポートなどで中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進加速などに82億円を充てた。また、M&A(企業の合併・買収)時の専門家活用や事業承継後の設備投資への支援などに111億円を盛り込んだ。

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