海外情勢

ジェトロ 2021年のBRICS経済を占う ロシア

 “コロナ軽傷” 油価と国際関係が鍵

 2020年のロシアの実質国内総生産(GDP)成長率はマイナス3.9%(ロシア経済発展省予測)と、新型コロナウイルス禍で世界的に経済減速が見込まれる中で、比較的「傷が浅い」部類だ。国際通貨基金(IMF)を含め、9~10月にかけての経済見通しでは、前回よりも上方修正となったところが多い。6月以降のロックダウン(都市封鎖)の解除後、経済が急速に回復してきたことの反映とみられる。

 21年も、国際金融機関を含め比較的堅調な経済見通しだ。新型コロナ拡大前の経済水準にいつ戻るかは見方が分かれるが、経済発展省は21年第3四半期、中央銀行は22年半ばと予想している。

 ミクロ面では、21年は新型コロナを奇貨とした新しい消費形態が一層拡大するとみられる。代表的なものはオンラインによる買い物代行・配達サービスだ。ロシアではこれまでも電子商取引(EC)がシェアを伸ばしてきたが、コロナ禍でそれが加速した形だ。

 通常の通販会社やカフェ・レストランの宅配に加え、スーパーから食品や日用品の注文をスマートフォンのアプリを含むオンライン上で受け付け、自宅まで届けるサービスがモスクワなどで急速に拡大している。

 大手スーパーチェーンのほか、検索大手サイトのヤンデックス、大手商業銀行ズベルの関連会社も参入している。取扱商品も豊富で、欲しい商品がカタログにない場合には次回以降の取り扱いを依頼することもできるなどの便利さ、最短20分程度で配達される手軽さなどが人気となり、利用者が増加している。

 ロックダウン時に大きく落ち込んだ消費は、通販の拡大もあり20年10月には前年同月とほぼ同水準に回復した。ロシアはタクシー配車アプリやデビットカードによる電子決済の普及など、消費形態が大きく変わりつつある。消費の新たな動きは21年以降も続くだろう。

 その一方で、歳入の大きな柱の一つであり消費とともにロシア経済を支える原油の価格回復の足取りは重い。21年予算案での原油価格見通しは1バレル当たり45.3ドル。19年の約7割の水準で、歳入の大幅減は避けられない。昨年12月8日に成立した21~23年の連邦予算は、3年ぶりの赤字となった。

 欧米諸国や周辺国との関係にも注視が必要だ。米国の新政権の対露政策に関しては、ロシア国内で経済制裁の強化などへの警戒感が出ている。ナゴルノカラバフでのアゼルバイジャンとアルメニアの武力衝突など、旧ソ連諸国の情勢変化も不安定要因だ。火種がくすぶり続ければロシア領北カフカス(英語名コーカサス)地方への波及、ひいてはロシア全体の不安定化にもつながりかねず、経済の下振れ要因となることが懸念される。(ジェトロ・モスクワ事務所長 梅津哲也)

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