海外情勢

米首都デモ、一部暴徒化 「バイデン氏勝利認めない」

 【ワシントン=黒瀬悦成】前代未聞の混乱が米首都ワシントンを揺るがした。市内に集結した数万人の熱狂的なトランプ大統領の支持者らは、大統領選で民主党のバイデン前副大統領の次期大統領就任を阻止する方途はもはや存在しないと悟るや否や、次々と連邦議会議事堂に殺到し、一部が暴徒と化した。

 「最後は勝つと思っていたのに裏切られた」

 フロリダから来たという男性(46)は、トランプ氏が「敗北を認めない」と宣言したホワイトハウス前の演説会場から数キロ先の議事堂に向かう路上で、吐き捨てるように言った。

 別のデモ参加者らもトランプ氏の名前が書かれた旗などを手に「バイデン氏を次期大統領と認めない」「トランプ大統領は選挙(の勝利)を盗み取られた」と口々に叫び、続々と議事堂に向かった。

 デモ参加者らが議事堂まで行進することは事前に予定されており、議事堂周辺の要所には万一に備えて警官隊が配置されていた。しかし、群れをなして警戒線を突破し、窓ガラスを破るなどして議事堂内になだれ込む支持者らを阻止することはできなかった。

 デモ隊は、上院本会議場やペロシ下院議長の部屋などに侵入。警官隊と暴徒らの衝突で双方に負傷者が出た。銃で撃たれたとみられる女性が血を流して倒れている姿を米メディアが放映すると、緊張は一気に高まった。

 ワシントンのバウザー市長が夜間外出禁止令を出したのを受け、デモ参加者の多くが議事堂から退去したが、一部のデモ隊は議事堂を取り囲んで警備する警官隊や州兵部隊とにらみ合いを続けた。

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