国内

緊急事態宣言7府県追加 主要都市圏に網、先回りで政治判断

 政府が13日に新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の対象範囲を11都府県にまで広げたのは、首都圏にとどまらず全国的に悪化する感染状況への危機感が背景にある。7日に4都県へ発令してから1週間足らずでの追加だが、菅義偉(すが・よしひで)首相は事実上、専門家の分析結果を待たず、主要都市圏に網をかける政治判断を優先させた。

 「新規感染者数や病床利用率でステージ4に相当する指標が多く、大都市圏は人口が集中して感染が広がるリスクがある。こうした要素に基づき判断した」

 首相は13日の記者会見で、対象地域追加の理由を、こう説明した。

 首相は7日の記者会見では関西圏の追加について「現時点でそうした状況にはない」と否定的で、10日にも「もう数日の状況を見る必要がある」と語っていた。ただ翌11日には関西圏の追加を周辺に伝え、12日には愛知と岐阜、栃木、福岡の追加も決めた。各県知事からの発令要請も決断を後押しした。

 当初の慎重な構えは、専門家が年明けの感染者数増の要因を見極める必要性を指摘していたからだが、首相は詳細な分析は待たずに拡大を決めた。13日の基本的対処方針等諮問委員会では専門家から「議論の時間が欲しい」との意見も出た一方で、尾身茂会長は同日の衆院内閣委で「(分析)結果を待てば後手になる。不確定要素はあるが、最悪の事態を考えて手を打つ」と理解を示した。

 実際、状況は1都3県への発令以降も悪化を続けている。6~12日の新規感染者数は前週の1・7倍の約4万5000人を記録。東京では入院や宿泊療養先がなく「調整中」の人が、9日までの1週間で約6000人に倍増した。専門家の一人は「一般国民に健康被害が生じつつある状況だ」と危機感をあらわにする。

 一方、政府は宣言のメッセージが国民に伝わらないことに焦りも強めている。

 「不要不急の外出は午後8時以降だけでなく、日中も控えていただけるようお願いする」

 首相は13日の会見で国民に要請し、西村康稔経済再生担当相は県境をまたぐ移動自粛も呼び掛けた。飲食店の時短を含めて「午後8時」を強調した結果、「8時より前なら大丈夫」との受け止めが広がったためだ。首相自身も前回の会見では昼の外出自粛に言及していなかったこともあり、発信の在り方も改めて問われている。(千葉倫之)

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