国内

ビジネス往来一時停止 経済界「短期間なら」容認も

 菅義偉(すが・よしひで)首相が中国や韓国など11カ国・地域との間で例外的に認めるビジネス関係者の往来を一時停止すると表明したことを受け、経済界からは落胆の声が上がった。一方で、リモート会議などの対応も定着する中、「海外の駐在員とはオンライン会議などでやりとりを続けており、ビジネスへの影響は大きくない」(ダイキン工業の広報担当者)との指摘も出ている。

 「いずれ直接対面に戻る期待もあっただけに、先延ばしになるのは残念」。日本郵船の担当者は声を落とす。経団連の古賀信行審議員会議長も「実態として往来がないと困ることが多い。体制整備した上で(政府に往来を)進めるよう願いたい」と強調する。

 日本政府観光局によると、令和元年の訪日外国人客は観光目的が約9割を占め、ビジネス目的は1割に満たない。ただ第一生命経済研究所の小池理人副主任エコノミストは「企業にとっては、往来再開のステップが振り出しに戻ったに等しい」と指摘する。

 一方、新型コロナ収束が景気回復に不可欠との認識も根強く、冷静な受け止めも目立った。「外国からのビジネス往来は既に最小限にしており、1カ月程度の一時停止なら大きな影響はない」。三菱商事の担当者はこう話す。日産自動車やホンダも、以前から不要不急の海外出張を原則禁止しており、対策強化はしていないという。

 海外拠点と国内拠点を結ぶサービスを展開するNTTコミュニケーションズは「需要が高まりそう」と商機を見据える。電子契約書を採り入れる企業も広がっており、「往来がなくても事業が滞らないよう支援したい」としている。

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