海外情勢

首相の後継者争い、独与党党首選が混迷スタート 圧倒的なメルケル人気が障害?

 ドイツのメルケル首相が所属する中道右派の与党、キリスト教民主同盟(CDU)が15、16日に党大会を開き、党首選を行う。9月の総選挙後の退任を表明しているメルケル氏の後継者争いの本格スタート。新党首は総選挙で首相候補になるのが通例だが、今回は圧倒的なメルケル人気に押され、すんなり決まりそうにない。

 党首選の候補は保守派のメルツ元下院院内総務(65)、中道派で西部ノルトライン・ウェストファーレン州のラシェット州首相(59)、外交通のレトゲン元環境相(55)の3人。投票は16日、代議員約1000人がオンラインで行う。初回投票でどの候補も過半数を獲得できなければ、上位2人による決選投票となる。

 独公共放送ARDが先週報じた党首選に関する世論調査によると、CDU支持者の間での支持率はメルツ氏が29%、ラシェット、レトゲン両氏が共に25%だった。

 後継者レースは、メルケル路線に忠実なラシェット氏が有利とみられていた。だが、同州で昨年夏に集団感染が広がり、人気が低迷。代わって浮上したメルツ氏はメルケル氏の同世代で党内最大のライバル。大手金融企業の顧問を務める実業家で、ビジネス重視の立場からメルケル氏の経済政策を批判してきた。

 そのメルツ氏も、新型コロナウイルス対策でメルケル政権の支持率が7割に達する中、存在感がかすんでいる。現在はこれといった公職に就いておらず、コロナ危機で国民に手腕を示す機会がないことも、首相候補としては不安材料だ。レトゲン氏は環境相時代にメルケル首相に更迭された因縁がある。

 総選挙でCDUは通常、国政で協力関係にある南部バイエルン州の姉妹政党、キリスト教社会同盟(CSU)と統一の首相候補を擁立する。現在、CDUの3人をしのぎ、統一候補として急浮上するのが、CSU党首のゼーダー同州首相だ。新型コロナの第1波封じ込めで、州内で成果をあげた。「統一候補に誰がふさわしいか」を問う全国世論調査では55%の支持を集め、首位に立った。CDUのメルツ氏は2位で、35%だった。

 メルケル氏は2018年、選挙で不振が続いた責任を取り、21年の任期末での首相退任を表明し、CDU党首も退いた。だが、CDU・CSUの支持率は現在、35%に回復。05年、メルケル首相が誕生した当時並みの水準で、大連立政権を組む中道左派、社会民主党(SPD)の14%に大差をつけている。

 CDUの党勢に水を差すのを懸念し、党重鎮のショイブレ下院議長は「党首だからといって、必ずしも首相候補になる必要はない」と主張。新型コロナに国民の関心が集中する中、「首相候補選びは先延ばしにせよ」の声も強い。

 今回のCDU党首選は、昨年4月に予定され、新型コロナ流行で2度延期された。SPDはショルツ財務相を党公認の首相候補に擁立している。

(パリ 三井美奈)

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